乳腺超音波検査における病変部付近の血流パターンについての検討

【はじめに】超音波検査における乳腺腫瘤の良悪の判定には通常Bモードによる判定基準を用いて超音波診断を進めるが、時に判断に苦慮することがある。今回我々はカラードプラ・パワードプラ(以下CD、PDと略)を伴用し、乳腺病変周辺の血流パターンについて検討したので報告する。【対象】平成16年4月~平成18年10月の間、当院の超音波検査(CD、PD使用)で乳腺病変を指摘しABCを行って病理学的診断のついた良性77症例と悪性45症例の122症例。【方法】当院ではCD、PD用いた乳腺病変部の評価は以下のように分類している。_I_.乳腺病変部(腫瘤内部・外部近辺)のvascularityの分類としてisovas...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 80
Main Authors 庄司, 徳代, 佐藤, 嘉洋, 岩本, 洋, 別所, 隆, 荒幡, 篤, 黒石, 正子, 田中, 和幸, 菅沼, 徹, 井野元, 智恵, 飯尾, 宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.80.0

Cover

More Information
Summary:【はじめに】超音波検査における乳腺腫瘤の良悪の判定には通常Bモードによる判定基準を用いて超音波診断を進めるが、時に判断に苦慮することがある。今回我々はカラードプラ・パワードプラ(以下CD、PDと略)を伴用し、乳腺病変周辺の血流パターンについて検討したので報告する。【対象】平成16年4月~平成18年10月の間、当院の超音波検査(CD、PD使用)で乳腺病変を指摘しABCを行って病理学的診断のついた良性77症例と悪性45症例の122症例。【方法】当院ではCD、PD用いた乳腺病変部の評価は以下のように分類している。_I_.乳腺病変部(腫瘤内部・外部近辺)のvascularityの分類としてisovascular(正常部位と思われる組織とほぼ同等なもの)とhypervascular(正常部位と思われる組織に比べ血流シグナルの豊富なもの)とに分ける。_II_.乳腺病変外部の血流走行パターンの分類としてType1(腫瘤周囲にスポット状もしくは沿うように描出されるもの)、Type2(腫瘤に対して垂直に向かう(直接的)ように描出されるもの)、Type3(周囲組織に比べびまん性に血流シグナルの不規則な増勢を認めるもの)、Type4(Type1~3以外)、そして病変外部血流の5パターンに分けた。以上の二つの分類について対象の122症例について良性、悪性別に検討を行った。【結果】病理学的良性、悪性について_I_、_II_分類別症例数を以下の表-1,2に示した。【考察】病理学的に悪性と診断された45症例の内、28症例(62%)が病変部付近hypervascularであった。また悪性でありながら、17症例(38%)は病変部付近isovascularであったがその内14例はBモードで悪性疑いであった。今回の検討上では、悪性のもののvascularityは良性のものの割合に比べ高く、病変部外部の血流走行パターンも良性では少ないType2の占める割合が多かった。乳腺超音波検査における良悪診断は、Bモードでの日本乳腺甲状腺超音波診断会議による診断基準に従い進めるが、苦慮する場合には積極的にCD、PDを使用し、vascularityが高い場合は悪性を念頭において慎重に検査を行う必要があると考える。また今後は腫瘤の組織型や腫瘤径も含め更なる検討が必要と思われる。    Type1Type2Type3Type4外部血流計iso&hypo150005469症例(90%)hyper132208症例(10%)計16症例(21%)3症例(4%)2症例(3%)2症例(3%)54症例(70%)77症例表-1良性と診断された77症例についての分類(77症例)表-2悪性と診断された45症例についての分類(45症例)     Type1Type2Type3Type4外部血流計iso&hypo20001517症例(38%)hyper31564028症例(62%)計5症例(11%)15症例(33%)6症例(13%)4症例(9%)15症例(33%)45症例
Bibliography:1E07
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.80.0