メタアナリシスからの展望 β3アドレナリン受容体遺伝子変異とBody Mass Indexに着目して
「はじめに」高血圧症, 高脂血症や糖尿病などの生活習慣病の危険因子の1つに肥満がある. 肥満はエネルギー摂取とエネルギー消費の不均衡状態により, 脂肪組織に中性脂肪が過剰に蓄積した状態と定義できる. 肥満の成因としては, 運動不足や食生活の乱れなど生活習慣によるものと, 遺伝要因の関与が指摘されている. 近年の分子生物学の発展に伴い, ヒトの遺伝子解析が進み, 肥満に関連する遺伝子(以下, 肥満関連遺伝子とする)が複数同定されてきた(1). 肥満関連遺伝子は機能別に食欲の調節に関与するもの, 基礎代謝調節に働くもの, 脂肪細胞の性質に影響を及ぼすものの3つに大きく分類される. これらのいずれも...
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Published in | 日本衛生学雑誌 Vol. 66; no. 1; pp. 42 - 46 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本衛生学会
2011
日本衛生学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5082 1882-6482 |
DOI | 10.1265/jjh.66.42 |
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Summary: | 「はじめに」高血圧症, 高脂血症や糖尿病などの生活習慣病の危険因子の1つに肥満がある. 肥満はエネルギー摂取とエネルギー消費の不均衡状態により, 脂肪組織に中性脂肪が過剰に蓄積した状態と定義できる. 肥満の成因としては, 運動不足や食生活の乱れなど生活習慣によるものと, 遺伝要因の関与が指摘されている. 近年の分子生物学の発展に伴い, ヒトの遺伝子解析が進み, 肥満に関連する遺伝子(以下, 肥満関連遺伝子とする)が複数同定されてきた(1). 肥満関連遺伝子は機能別に食欲の調節に関与するもの, 基礎代謝調節に働くもの, 脂肪細胞の性質に影響を及ぼすものの3つに大きく分類される. これらのいずれもエネルギーの出納に関連する. 基礎代謝の調節に働くものの1つとして, アドレナリン受容体がある. アドレナリン受容体は, α, βのタイプが存在している. αアドレナリン受容体は脂肪分解を抑制し, βアドレナリン受容体は促進する働きを持つ. |
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ISSN: | 0021-5082 1882-6482 |
DOI: | 10.1265/jjh.66.42 |