地域精神保健福祉研究における患者・市民参画の研究段階および研究テーマに関する見解 複数の立場の視点に基づく質的内容分析

目的:精神保健福祉に関わる複数の立場の者が「患者・市民参画(Patient and Public involvement:PPI)」による研究を想定した際に,参画する研究段階や研究テーマについて,どのような考えを持っているかを明らかにすることを目的とした。方法:対象は,当事者,家族,支援専門職,行政職員,研究者の立場の参加者37名とし,半構造的なフォーカスグループインタビューを実施した。インタビューでは,PPIによる研究に対し,『どの研究段階で共同したいか/共同できるか』および『研究テーマや方法によって共同したい気持ちは変わるか』に関する参加者個人の考えを聴取した。質的データは,質的内容分析に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療と社会 Vol. 33; no. 2; pp. 257 - 270
Main Authors 阿部, 真貴子, 五十嵐, 百花, 小川, 亮, 藤井, 千代, 塩澤, 拓亮, 佐藤, さやか, 山口, 創生, 川口, 敬之, 安間, 尚徳, 宮本, 有紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 医療科学研究所 29.08.2023
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0916-9202
1883-4477
DOI10.4091/iken.2023.001

Cover

More Information
Summary:目的:精神保健福祉に関わる複数の立場の者が「患者・市民参画(Patient and Public involvement:PPI)」による研究を想定した際に,参画する研究段階や研究テーマについて,どのような考えを持っているかを明らかにすることを目的とした。方法:対象は,当事者,家族,支援専門職,行政職員,研究者の立場の参加者37名とし,半構造的なフォーカスグループインタビューを実施した。インタビューでは,PPIによる研究に対し,『どの研究段階で共同したいか/共同できるか』および『研究テーマや方法によって共同したい気持ちは変わるか』に関する参加者個人の考えを聴取した。質的データは,質的内容分析に基づきカテゴリー化を行った。結果・考察:研究段階に関する【研究段階によるPPI実施の可能性】および【各研究段階におけるPPI実施に関する見解】の2領域では,全ての研究段階で共同することの意義とともに,当事者や家族による柔軟な参加の許容が望まれるとする見解や,研究段階における当事者や家族の参画の意義や課題感が示された。また,研究テーマによるPPI実施についての具体的な意見に基づいた【研究テーマによるPPIの実現可能性】および【PPIに基づく研究が有効または実施が期待される研究テーマ】の2領域が生成された。精神保健福祉研究におけるPPIの普及に向け,成功事例の蓄積や解決策の検討を行うべき課題が提示された。
ISSN:0916-9202
1883-4477
DOI:10.4091/iken.2023.001