化学療法によりネフローゼ症候群も治癒した原発不明癌の1例

化学療法によりネフローゼ症候群も治癒した原発不明癌の1例を経験したので報告する。【症例】50歳女性。2002年11月より心窩部痛、背部痛が出現し前医で精査、傍大動脈リンパ節腫脹を認めた。その後頚部リンパ節腫脹も出現しこれを生検、腺癌と診断された。全身検索を行うも原発は不明。精査中にリンパ節は増大しネフローゼ症候群となった。同医で余命1~2ヶ月、化学療法の適応とされ、ターミナルケアを目的に2003年1月に当院に転院。【入院時現症】全身浮腫著明で胸腹水を認め、PSは4。【入院時検査】TP 4.7g/dl、Alb 1.4g/dl、T-Cho 651mg/dl、BUN 35.3mg/dl、Cr 1.5...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 57; p. 92
Main Authors 河内, 隆宏, 勝村, 直樹, 尾辻, 健太郎, 森野, 浩太郎, 三原, 昌弘, 森, 良雄, 華井, 頼子, 山崎, 健路
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2008
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.57.0.92.0

Cover

More Information
Summary:化学療法によりネフローゼ症候群も治癒した原発不明癌の1例を経験したので報告する。【症例】50歳女性。2002年11月より心窩部痛、背部痛が出現し前医で精査、傍大動脈リンパ節腫脹を認めた。その後頚部リンパ節腫脹も出現しこれを生検、腺癌と診断された。全身検索を行うも原発は不明。精査中にリンパ節は増大しネフローゼ症候群となった。同医で余命1~2ヶ月、化学療法の適応とされ、ターミナルケアを目的に2003年1月に当院に転院。【入院時現症】全身浮腫著明で胸腹水を認め、PSは4。【入院時検査】TP 4.7g/dl、Alb 1.4g/dl、T-Cho 651mg/dl、BUN 35.3mg/dl、Cr 1.5mg/dl、AFP 3430ng/ml(L3分画88.2%)、シフラ 80.9ng/ml、尿蛋白 1248mg/dl【経過】CBDCA+CPT-11療法でリンパ節の縮小を認めたが3月末に再度増大傾向となり、4月よりTHP-ADM+VCR+CPM療法を6コース施行しCRに至った。腫瘍マーカーも正常化しこれに伴いネフローゼ症候群も治癒した。以後UFTの3週内服1~2週休薬を継続し2008年4月現在寛解を維持している。【考察】本症例は原発不明癌に併発したネフローゼ症候群である。化学療法による現疾患の改善とともにネフローゼも改善がみられており、腎生検は行っていないが、がんの産生する何らかの蛋白が糸球体に沈着してネフローゼをきたしたものと考えられた。
Bibliography:1F044
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.57.0.92.0