同時性5多発早期胃癌の1例
症例は78歳男性。2009年3月、当院内科にてスクリーニング目的で上部消化管内視鏡を施行した。胃前庭部に2箇所の0-_II_a病変、胃体下部に1箇所の0-_II_a病変、胃体中部に1箇所の0-_II_c病変を認めた。生検では胃前庭部のうち1病変が腺腫で、それ以外の3病変は高分化型腺癌であった。胃粘膜は腸上皮化生を伴う慢性胃炎の所見であり、腺窩上皮内にピロリ菌を認めた。また、病巣間には悪性所見を認めず、連続性はなかった。明らかな他臓器及びリンパ節への転移を認めなかった。以上より、cStage_I_Aの多発早期胃癌の診断にて、胃全摘(D1+β)、胆嚢摘出、Roux-en-Y再建術を施行した。術後病...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 52 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.59.0.52.0 |
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Summary: | 症例は78歳男性。2009年3月、当院内科にてスクリーニング目的で上部消化管内視鏡を施行した。胃前庭部に2箇所の0-_II_a病変、胃体下部に1箇所の0-_II_a病変、胃体中部に1箇所の0-_II_c病変を認めた。生検では胃前庭部のうち1病変が腺腫で、それ以外の3病変は高分化型腺癌であった。胃粘膜は腸上皮化生を伴う慢性胃炎の所見であり、腺窩上皮内にピロリ菌を認めた。また、病巣間には悪性所見を認めず、連続性はなかった。明らかな他臓器及びリンパ節への転移を認めなかった。以上より、cStage_I_Aの多発早期胃癌の診断にて、胃全摘(D1+β)、胆嚢摘出、Roux-en-Y再建術を施行した。術後病理組織学的検査では、前述の4病変に加え、胃体中部に1病変の存在を認め、いずれもtub1,m,ly0,v0であった。背景胃粘膜に再生上皮や上皮の過形成性変化を認めた。経過良好であり、術後16病日にて退院となった。同時性多発早期胃癌は胃癌全体の約10%程度と決して珍しいものではないが、2病巣症例が大半であり、本症例のように5病巣を認めるものは極めてまれである。若干の文献的考察を加え報告する。 |
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Bibliography: | R-03 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.59.0.52.0 |