人間ドックの糖尿病境界型の経時変化について
はじめに(目的):糖尿病の高血糖は糖毒性(glycotoxity)を示し動脈硬化を促進する。早期に発見、保健指導することは肝要である。75g糖負荷試験(GTT)における境界型患者に糖尿病発症の予防、合併症などの保健指導に役立てるために経時的な検討を加えた。 対象と方法:平成11年から13年度の受診者874名。75gGTTで日本糖尿病学会判定基準により糖尿病境界型と判定されたもの295名(34%)であった。この境界型で平成16年度まで再受診した107名を対象として問診内容、検査データを比較検討した。 年代別対象者:50代が最も多く59名、40代34名、平均年齢52.7歳、男性は92%であった。...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 54; p. 55 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2005
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.54.0.55.0 |
Cover
Summary: | はじめに(目的):糖尿病の高血糖は糖毒性(glycotoxity)を示し動脈硬化を促進する。早期に発見、保健指導することは肝要である。75g糖負荷試験(GTT)における境界型患者に糖尿病発症の予防、合併症などの保健指導に役立てるために経時的な検討を加えた。 対象と方法:平成11年から13年度の受診者874名。75gGTTで日本糖尿病学会判定基準により糖尿病境界型と判定されたもの295名(34%)であった。この境界型で平成16年度まで再受診した107名を対象として問診内容、検査データを比較検討した。 年代別対象者:50代が最も多く59名、40代34名、平均年齢52.7歳、男性は92%であった。 結果:経時的変化(再受診時):糖尿病型への悪化10名(9.4%)、正常型への改善32名(29.9%)、境界型のまま65名(60.7%)。・BMIの変化:糖尿病型の60%でBMIの増加をみた。 ・血圧について:正常群への移行は血圧改善が71.9%にみられた。・ALT,AST,γ-GTP:正常への移行では71.9%に肝機能が改善した。 ・脂質(総コレステロール、中性脂肪、HDL-コレステロール):糖尿病型では脂質の悪化80%にみられた。特に中性脂肪が増加していた。 ・生活習慣の変化:飲酒(晩酌)しない人が両群に多い。量や回数の増加したものが糖尿病群20%あった。 ・喫煙:正常群では喫煙習慣の改善に効果がみられた。 ・運動習慣:運動しない群が両群とも多いが毎日運動する方が正常型に移行したものが、6.3%であった。 ・間食:両群に差はみられなかった。 考察:メタボリック・シンドロームの診断基準が提唱された。高血糖、高トリグリセロイド血症、低HDL-コレステロール血症、高血圧など二つ以上の疾患を持つ場合をさすことが多い。75gGTTの境界型の約10%は糖尿病型へ、30%は正常化、60%は境界型のままであった。糖尿病治療ガイドラインに沿った食事療法、運動療法、患者教育特に自己管理行動を促進する心理・行動学的方法を更に継続して行なう必要を感じた。 |
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Bibliography: | 1F10 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.54.0.55.0 |