薬剤抵抗性持続性心房粗細動に対するbepridil+aprindine併用療法の検討

【背景と目的】心房細動(Af)の発症率は加齢によって増加するところから、本邦では今後50年間で3倍近くその頻度が激増するとの試算があり、特に農村地域ではこの現象がより先鋭化した形で進行すると予測されている。Afは脳塞栓などの血栓塞栓症リスクを高める一方で、血行動態悪化により心不全発生とも密接に関与しているが、一方で抗不整脈薬による治療(rhythm control)が、rate controlに比し長期予後を必ずしも改善しないとの報告(AFFIRM試験)もあり、大きな臨床的課題となっている。一方、発作性心房細動(Paf)に対する日本循環器学会ガイドラインでは、基礎疾患の有無、心機能に応じ、sl...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 56; p. 33
Main Authors 寺田, 舞, 新田, 格, 佐藤, 和明, 佐藤, 貴子, 齊藤, 崇, 松岡, 悟, 守田, 亮, 田村, 芳一, 浅香, 力, 金澤, 正範, 相馬, 大鋭, 阿部, 元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2007
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.56.0.33.0

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Summary:【背景と目的】心房細動(Af)の発症率は加齢によって増加するところから、本邦では今後50年間で3倍近くその頻度が激増するとの試算があり、特に農村地域ではこの現象がより先鋭化した形で進行すると予測されている。Afは脳塞栓などの血栓塞栓症リスクを高める一方で、血行動態悪化により心不全発生とも密接に関与しているが、一方で抗不整脈薬による治療(rhythm control)が、rate controlに比し長期予後を必ずしも改善しないとの報告(AFFIRM試験)もあり、大きな臨床的課題となっている。一方、発作性心房細動(Paf)に対する日本循環器学会ガイドラインでは、基礎疾患の有無、心機能に応じ、slowないしintermediate kinetics型のNa channel阻害薬(class I)を各々第一適応としているが、これらclass I薬単独投与に対する無効例が少なからず存在し、塞栓症リスク、心不全リスクが高い例ほどAfコントロールが困難であるというジレンマがある。そこで、日循ガイドラインに沿って選択投与された_I_群抗不整脈薬に対し多剤抵抗性を示した基礎心疾患を有する持続性ないし慢性Af例に対し、富山大学の藤木らによって考案された新規カクテル療法であるbepridil/aprindine療法を行ってその効果と安全性につき検証した。 【方法】本研究では平均2.5剤のclass I薬に対して抵抗性を示した持続性ないし慢性Af 14例(平均年齢72.1±4.8歳)を対象としてmultichannel blockerであるbepridil (BEP)+fast kinetics型class I薬であるaprindine (APR)併用療法の除細動効果につき検討した。基盤疾患は高血圧性心疾患(6例)、大動脈弁膜症(3例)、僧帽弁疾患(2例)、虚血性心疾患(1例)、その他2例であった。投薬プロトコールとしては、平均2~4週のbepridil投与後、単独で効果の得られなかった14例にaprindineを上乗せする形で行なった。 【結果と結論】BEP(128.8±28.9mg/day)、APR(38.6±3.8mg/day)投与により、14例中11例で薬理学的除細動に成功した。副作用はOMIに見られたQT延長が1例(bepridil 200mgから100mgへの減量で改善)、肝機能障害のためaprindineを中止せざるを得なかった1例のみであった。以上から、bepridil/ aprindine併用療法は基礎心疾患を有し、多剤抵抗性を示すAf例に対し高い有効性と安全性を有することが確認された。
Bibliography:1C09
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.56.0.33.0