顎運動解析パラメータの標準化に関する検討 切歯点における限界運動路解析

目的 : 本研究では, 解析時の基準座標系が異なっても利用可能な顎運動の評価基準を確立することを目的とし, 切歯点限界運動経路を対象として新たな解析パラメータについて検討を行った. 方法 : 顎口腔系に特に異常を認めない成人男性20名 (平均年齢25.0 ± 8.2歳) の限界運動データを使用した. 解析では, まず基準座標系の違いの影響を検討するため, 基準面の傾きと投影面積の変化について検討した. 次に咬頭嵌合位と最大開口位を結んだ線を基準線とし, 各顎位からこの直線への垂線を計測して, 垂線の足の移動距離と垂線の長さから切歯点運動範囲指数を求めた. この指数の妥当性については, 三次元空...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 52; no. 3; pp. 311 - 320
Main Authors 安陪, 晋, 坂東, 永一, 竹内, 久裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 10.07.2008
日本補綴歯科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.52.311

Cover

More Information
Summary:目的 : 本研究では, 解析時の基準座標系が異なっても利用可能な顎運動の評価基準を確立することを目的とし, 切歯点限界運動経路を対象として新たな解析パラメータについて検討を行った. 方法 : 顎口腔系に特に異常を認めない成人男性20名 (平均年齢25.0 ± 8.2歳) の限界運動データを使用した. 解析では, まず基準座標系の違いの影響を検討するため, 基準面の傾きと投影面積の変化について検討した. 次に咬頭嵌合位と最大開口位を結んだ線を基準線とし, 各顎位からこの直線への垂線を計測して, 垂線の足の移動距離と垂線の長さから切歯点運動範囲指数を求めた. この指数の妥当性については, 三次元空間内での運動経路範囲を三次元曲面面積として計測した値との相関を求め検証した. 結果 : 前頭面投影図面積は, 運動経路と前頭面の角度的関係が10度変化すると2%~5%程度の影響を受けることが明らかとなった. 一方, 新たに求めた切歯点運動範囲指数は, 限界運動路で囲まれた面の三次元曲面面積と有意な相関を示した (矢状面内限界運動, ρ = 0.53 (p = 0.016), 左側方限界開口路, ρ = 0.97 (p < 0.001), 右側方限界開口路, ρ = 0.98 (p < 0.001), Spearman rank correlation). 結論 : 新たに考案したパラメータは, 基準座標系に依存することなく三次元的な限界運動経路を数値化することが可能であることが示された.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.52.311