Antifungal stewardshipの実践とカンジダ血症の予後に関与する要因
カンジダ血症は入院患者の主要な侵襲性真菌感染症であり,高い死亡率をもたらす.Antifungal stewardship(AFS)によりカンジダ血症の予後の改善や抗真菌薬の副作用,耐性化抑制などが期待される.カンジダ血症に対して行うべき事項はバンドルとして示され,遵守により予後改善の効果が期待される.AFSの実際としてACTIONsバンドルを用いたカンジダ血症のマネジメントを行い,カンジダ血症における予後に関与する要因の検討を行った.血液培養の陰性化後2週間の抗真菌薬投与は予後の改善の要因となった.一方,肝硬変を含む肝機能障害,低い予後栄養指数,高Acute Physiology and Ch...
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Published in | 日本医真菌学会雑誌 Vol. 63; no. 4; pp. 93 - 98 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本医真菌学会
31.10.2022
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Subjects | |
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ISSN | 2434-5229 2434-5237 |
DOI | 10.11534/ishinkin.22.011 |
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Summary: | カンジダ血症は入院患者の主要な侵襲性真菌感染症であり,高い死亡率をもたらす.Antifungal stewardship(AFS)によりカンジダ血症の予後の改善や抗真菌薬の副作用,耐性化抑制などが期待される.カンジダ血症に対して行うべき事項はバンドルとして示され,遵守により予後改善の効果が期待される.AFSの実際としてACTIONsバンドルを用いたカンジダ血症のマネジメントを行い,カンジダ血症における予後に関与する要因の検討を行った.血液培養の陰性化後2週間の抗真菌薬投与は予後の改善の要因となった.一方,肝硬変を含む肝機能障害,低い予後栄養指数,高Acute Physiology and Chronic Health EvaluationⅡスコアは予後の不良の要因であった.適切な抗真菌薬の選択と用法用量,治療期間は予後の改善する重要な項目である.一方,高齢,腎機能障害,肝機能障害,ステロイドを含む免疫抑制薬の使用などの患者背景もカンジダ血症の発生や予後不良のリスクとなることが知られており,コントロールが困難であることも多い.患者の栄養指標やリンパ球数も予後の予測因子となり,栄養状態の改善はカンジダ血症の予後向上のために行うべき対策である.この総説ではAFS活動とリスク要因となる患者の疾患背景をおもに取り上げ概説する. |
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ISSN: | 2434-5229 2434-5237 |
DOI: | 10.11534/ishinkin.22.011 |