妊娠後に高安動脈炎と診断し, ステロイド投与にて無事出産し得た1症例

31歳, 女性. 39.2℃の発熱があり, その2カ月後より眼前暗黒感を伴う眩暈を主訴に近医を受診. 両側橈骨動脈が触知不能のため高安動脈炎が疑われ紹介. 精査目的で入院するも妊娠6週1日目であることが判明し, 造影剤を使用した検査は中止. WBC 10,540/µL, CRP 0.73mg/dL, 血沈69mm/1時と炎症反応が亢進し, 頸動脈エコーでは両側の総頸動脈内中膜肥厚, および胸部MRAで大動脈弓3分枝の狭窄が認められた. 症状, 血液生化学検査, および画像診断より高安動脈炎I型と診断した. プレドニゾロン30mg/日の内服開始に伴い, 眩暈の改善および橈骨動脈の触知を認め外来加...

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Published in心臓 Vol. 42; no. 10; pp. 1323 - 1329
Main Authors 淀川, 顕司, 稲見, 徹, 阿部, 純子, 雪吹, 周生, 林, 明聡, 大野, 則彦, 村上, 大介, 水野, 杏一, 清野, 精彦, 高野, 雅充, 山本, 真功, 大場, 崇芳, 木股, 仲恒
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2010
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.42.1323

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Summary:31歳, 女性. 39.2℃の発熱があり, その2カ月後より眼前暗黒感を伴う眩暈を主訴に近医を受診. 両側橈骨動脈が触知不能のため高安動脈炎が疑われ紹介. 精査目的で入院するも妊娠6週1日目であることが判明し, 造影剤を使用した検査は中止. WBC 10,540/µL, CRP 0.73mg/dL, 血沈69mm/1時と炎症反応が亢進し, 頸動脈エコーでは両側の総頸動脈内中膜肥厚, および胸部MRAで大動脈弓3分枝の狭窄が認められた. 症状, 血液生化学検査, および画像診断より高安動脈炎I型と診断した. プレドニゾロン30mg/日の内服開始に伴い, 眩暈の改善および橈骨動脈の触知を認め外来加療とした. CRPと血沈を指標に外来でプレドニゾロンを漸減し, 継続加療を行った. 妊娠経過中に胎児の発達に問題なく, 妊娠も正常に経過した. 本症例の高安動脈炎病期はgroup I, 新生児予後スコアーは0点であることより自然経膣分娩とし, 妊娠39週3日に体重3,010gの男児を無事出産した. 高安動脈炎は全国に約5,000人の罹患患者がいるが, 妊娠症例の報告は比較的少なく, 本疾患妊娠症例の診断・治療, 妊娠分娩時の管理などにつき考察を加える.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.1323