膵管癒合不全に合併した膵管内乳頭粘液性腫瘍に対して尾側膵亜全摘を行った1例

症例は74歳の女性で,膵炎の診断で前医入院加療された際に膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm;以下,IPMNと略記)を指摘され当院紹介となった.ERCPを含む画像精査にて膵管癒合不全を認め,Santorini管はびまん性の拡張を認めた.拡張膵管内に明らかな壁在結節は指摘されず,膵液細胞診はClass IIIであった.検査で浸潤癌を示唆する所見がないこと,膵管癒合不全を認めること,かつ膵管拡張がSantorini管に限局していたことから,背側膵に限局した混合型IPMNと診断し腹側膵を温存した尾側膵亜全摘術を行った.術後に膵液瘻を認め...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 12; pp. 758 - 764
Main Authors 成田, 周平, 三宅, 英輝, 熊野, 健二郎, 能勢, 聡一郎, 櫻井, 湧哉, 藤, 智和, 梶岡, 裕紀, 仁熊, 健文, 岡, 凌也, 児島, 亨, 片山, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.12.2022
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2021.0163

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Summary:症例は74歳の女性で,膵炎の診断で前医入院加療された際に膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm;以下,IPMNと略記)を指摘され当院紹介となった.ERCPを含む画像精査にて膵管癒合不全を認め,Santorini管はびまん性の拡張を認めた.拡張膵管内に明らかな壁在結節は指摘されず,膵液細胞診はClass IIIであった.検査で浸潤癌を示唆する所見がないこと,膵管癒合不全を認めること,かつ膵管拡張がSantorini管に限局していたことから,背側膵に限局した混合型IPMNと診断し腹側膵を温存した尾側膵亜全摘術を行った.術後に膵液瘻を認めたが保存的に閉鎖し,術後42日で退院となった.病理診断はlow grade IPMNであり悪性所見は認めなかった.膵管癒合不全に生じたIPMNに対して,腹側膵を温存した切除例の報告はまれであり報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2021.0163