Lenvatinib投与後にparenchymal sparing hepatectomyが可能となった巨大肝細胞癌の1例

切除困難な巨大肝細胞癌に対する術前治療として分子標的薬を用いた報告はいまだ少数である.今回,巨大肝細胞癌に対し術前にlenvatinibの投与により腫瘍が縮小し,切除後の残肝容積を温存できた症例を経験した.症例は78歳の男性で,肝S5・S6から肝外に突出する19 cm大の肝細胞癌ならびに肝S8の肝内転移を認めた.腫瘍はG7にも近接し,根治切除には拡大後区域切除+肝S8部分切除(31.9%切除)が想定されたが,ICG停滞率が28.3%と高値かつ,術後の早期再発も危惧されたため,lenvatinibを投与した後に切除する方針とした.投与開始後6週間で主腫瘍は縮小し,肝内転移も消失した.肝下区域切除...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 56; no. 10; pp. 547 - 559
Main Authors 北嶋, 諒, 武田, 真, 田井, 優太, 平松, 良浩, 牧野, 光将, 菊池, 寛利, 竹内, 裕也, 森田, 剛文, 井田, 進也, 村木, 隆太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.10.2023
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2022.0104

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Summary:切除困難な巨大肝細胞癌に対する術前治療として分子標的薬を用いた報告はいまだ少数である.今回,巨大肝細胞癌に対し術前にlenvatinibの投与により腫瘍が縮小し,切除後の残肝容積を温存できた症例を経験した.症例は78歳の男性で,肝S5・S6から肝外に突出する19 cm大の肝細胞癌ならびに肝S8の肝内転移を認めた.腫瘍はG7にも近接し,根治切除には拡大後区域切除+肝S8部分切除(31.9%切除)が想定されたが,ICG停滞率が28.3%と高値かつ,術後の早期再発も危惧されたため,lenvatinibを投与した後に切除する方針とした.投与開始後6週間で主腫瘍は縮小し,肝内転移も消失した.肝下区域切除(10.7%切除)を施行し,残肝容積を保つことが可能となった.Lenvatinibは巨大肝細胞癌の術前治療の選択肢になりうると思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2022.0104