片側性唇顎口蓋裂患者の術前硬口蓋後端裂幅と術後言語機能との関連
本研究の目的は,片側性唇顎口蓋裂患者の口蓋形成術前の裂幅が術後言語成績へ与える影響を明らかにし,術前の裂幅と術後の言語機能との関連を検討することである。 2004年から2014年に東京大学医学部附属病院口腔顎顔面外科・矯正歯科を受診した片側性唇顎口蓋裂患者29症例の口蓋形成術直前の硬口蓋後端裂幅と術後言語成績(構音と鼻咽腔閉鎖機能)の関係について調査した。裂幅の計測には口蓋形成術前の上顎歯槽模型とノギスを使用した。 口蓋形成術前の硬口蓋後端裂幅は中央値10mm,平均値9.9mmであった。裂幅が10mm未満群と10mm以上群に分けて検討した。口蓋化構音は裂幅が6mm,8mm,10mm,11mm,...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 45; no. 3; pp. 197 - 202 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
2020
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Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate.45.197 |
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Summary: | 本研究の目的は,片側性唇顎口蓋裂患者の口蓋形成術前の裂幅が術後言語成績へ与える影響を明らかにし,術前の裂幅と術後の言語機能との関連を検討することである。 2004年から2014年に東京大学医学部附属病院口腔顎顔面外科・矯正歯科を受診した片側性唇顎口蓋裂患者29症例の口蓋形成術直前の硬口蓋後端裂幅と術後言語成績(構音と鼻咽腔閉鎖機能)の関係について調査した。裂幅の計測には口蓋形成術前の上顎歯槽模型とノギスを使用した。 口蓋形成術前の硬口蓋後端裂幅は中央値10mm,平均値9.9mmであった。裂幅が10mm未満群と10mm以上群に分けて検討した。口蓋化構音は裂幅が6mm,8mm,10mm,11mm,13mmに出現し,裂幅の大きさに関係なく発現する傾向が見られた。声門破裂音は裂幅12mm,13mm,16mmに見られ,裂幅と声門破裂音の有無については2群間に有意差が認められた。鼻咽腔閉鎖機能は,10mm未満群では良好が92%,不全が8%であったのに対し,10mm以上群では良好が75%,不全が25%であった。以上の結果より,裂幅が広くなると鼻咽腔閉鎖機能不全と声門破裂音が出現する傾向が見られた。 以上のことから,片側性唇顎口蓋裂における術前の硬口蓋後端裂幅と術後の言語成績には何らかの関連性があり,術前の裂幅が言語機能の因子の1つとして関与している可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate.45.197 |