術後32日目に多発肝転移と腹膜播種を来した紡錘細胞型退形成膵管癌の1例

症例は60歳の男性で,心窩部痛を主訴に救急外来を受診し,腹部造影CTで膵頭部に20 mm大の乏血性腫瘤を認めた.内視鏡的逆行性胆膵管造影で,膵頭部膵管軽度狭窄に伴う尾側膵管の軽度拡張を認め,PET-CTで膵頭部腫瘤に限局性集積を認めた.超音波内視鏡下の穿刺吸引細胞診でadenocarcinomaを認め,膵癌の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査は腺管形成が乏しく,核の大小不同・核縁不整な紡錘形の腫瘍細胞が増殖を示し,退形成性膵管癌(紡錘細胞型)と診断した.術後22日目に退院したが,術後32日目に腹痛で当院受診し,腹部造影CTで多発肝転移,腹膜播種再発を認めた.原病増悪...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 12; pp. 965 - 971
Main Authors 高山, 祐一, 前田, 敦行, 森, 治樹, 今岡, 拓郎, 深見, 保之, 尾上, 俊介, 高橋, 崇真, 金岡, 祐次, 宇治, 誠人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2017
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0015

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Summary:症例は60歳の男性で,心窩部痛を主訴に救急外来を受診し,腹部造影CTで膵頭部に20 mm大の乏血性腫瘤を認めた.内視鏡的逆行性胆膵管造影で,膵頭部膵管軽度狭窄に伴う尾側膵管の軽度拡張を認め,PET-CTで膵頭部腫瘤に限局性集積を認めた.超音波内視鏡下の穿刺吸引細胞診でadenocarcinomaを認め,膵癌の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査は腺管形成が乏しく,核の大小不同・核縁不整な紡錘形の腫瘍細胞が増殖を示し,退形成性膵管癌(紡錘細胞型)と診断した.術後22日目に退院したが,術後32日目に腹痛で当院受診し,腹部造影CTで多発肝転移,腹膜播種再発を認めた.原病増悪により術後43日目に死亡した.退形成性膵管癌は膵管癌の中ではまれな組織型であり,浸潤性膵管癌の中でも予後不良とされる.退形成性膵管癌の中でも紡錘細胞型はまれであり,ここに症例を報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0015