胃原発末梢性未熟性神経外胚葉性腫瘍peripheral primitive neuroectodermal tumorの1例

末梢性未熟性神経外胚葉性腫瘍は,神経外胚葉性分化を伴う小型円形細胞からなる悪性腫瘍で,小児・若年者の四肢や傍脊柱領域の軟部組織に発生することが多い.今回,我々はまれな胃原発末梢性未熟性神経外胚葉性腫瘍の1例を経験した.症例は68歳の男性で,食欲不振の精査目的に上部消化管内視鏡検査を施行し,噴門部に隆起性病変を指摘された.生検では腫大した核を有する胞体の乏しい小型円形腫瘍細胞の増殖を認めた.免疫組織化学的染色検査を行うも,組織型の特定は困難であった.胃全摘術を施行し,摘出標本での免疫組織化学染色検査でCD99が腫瘍細胞に陽性となり,遺伝子検査でEWS-FLI1融合遺伝子が証明され,末梢性未熟性神...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 11; pp. 872 - 879
Main Authors 尾崎, 和秀, 岡林, 雄大, 福井, 康雄, 澁谷, 祐一, 古北, 由仁, 寺石, 文則, 松本, 学, 高田, 暢夫, 中村, 敏夫, 岩田, 純, 西岡, 豊, 志摩, 泰生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2017
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2016.0189

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Summary:末梢性未熟性神経外胚葉性腫瘍は,神経外胚葉性分化を伴う小型円形細胞からなる悪性腫瘍で,小児・若年者の四肢や傍脊柱領域の軟部組織に発生することが多い.今回,我々はまれな胃原発末梢性未熟性神経外胚葉性腫瘍の1例を経験した.症例は68歳の男性で,食欲不振の精査目的に上部消化管内視鏡検査を施行し,噴門部に隆起性病変を指摘された.生検では腫大した核を有する胞体の乏しい小型円形腫瘍細胞の増殖を認めた.免疫組織化学的染色検査を行うも,組織型の特定は困難であった.胃全摘術を施行し,摘出標本での免疫組織化学染色検査でCD99が腫瘍細胞に陽性となり,遺伝子検査でEWS-FLI1融合遺伝子が証明され,末梢性未熟性神経外胚葉性腫瘍の診断に至った.術後,多発肝転移を来し,4か月目に死亡した.近年,本腫瘍に対する集学的治療の有効性が報告されている.小型円形細胞からなる胃原発腫瘍を認めた際は本疾患を鑑別に挙げ,治療開始前に確定診断を得ることが重要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2016.0189