食道癌サルベージ手術後のトリコスポロン敗血症の1例
症例は37歳の男性で,胸部中部食道癌 cT4N2M0 cStage IVaに対する根治的化学放射線療法,追加化学療法およびサルベージ食道切除術後3か月にトリコスポロン敗血症に罹患した.急性呼吸促迫症候群も併発し人工呼吸器管理を要した.治療の中心は抗真菌剤であり,診断後直ちにアムホテリシンBを投与開始,その後ボリコナゾールを追加して治癒した.深在性トリコスポロン症は免疫機能低下状態で発症するまれで極めて予後不良な日和見感染症である.これまで血液悪性疾患治療中に発症した報告が多いが,消化器癌においても集学的治療が拡大し高度な免疫機能低下症例が増え,本症の発生頻度は増加するものと思われる.今後,深在...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 10; pp. 811 - 816 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2014.0223 |
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Summary: | 症例は37歳の男性で,胸部中部食道癌 cT4N2M0 cStage IVaに対する根治的化学放射線療法,追加化学療法およびサルベージ食道切除術後3か月にトリコスポロン敗血症に罹患した.急性呼吸促迫症候群も併発し人工呼吸器管理を要した.治療の中心は抗真菌剤であり,診断後直ちにアムホテリシンBを投与開始,その後ボリコナゾールを追加して治癒した.深在性トリコスポロン症は免疫機能低下状態で発症するまれで極めて予後不良な日和見感染症である.これまで血液悪性疾患治療中に発症した報告が多いが,消化器癌においても集学的治療が拡大し高度な免疫機能低下症例が増え,本症の発生頻度は増加するものと思われる.今後,深在性真菌症として致死率の高い本症に対する警戒も必要であり,発症時は血液培養検査による迅速な診断と適切な抗真菌剤の選択が重要となる. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2014.0223 |