Imatinib治療開始後,急性転化を呈する度に化学療法でBCR/ABLが減少,消失した高齢者・慢性骨髄性白血病の1例

imatinib治療開始後,3度の急性転化(BC)を繰り返す度に化学療法でBCR/ABLが減少,消失し,救援可能であった高齢者・慢性骨髄性白血病(CML)の1例を報告する.症例は70歳台の女性.67歳時に慢性期CML(-CP)と診断,imatinib治療を開始し,Ph染色体は減少していたが,10カ月後に重度の皮疹が出現したため中止した.その3カ月後に骨髄性急性転化(MBC)を発症したため,AdVPなど化学療法を行う一方,imatinibを再開し,CPに回復(return to CP;RTC),Ph染色体は消失,BCR/ABLは著減した.その1年1カ月後,imatinib治療を継続していたにもか...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 47; no. 1; pp. 86 - 91
Main Authors 斉藤, 誠, 森岡, 正信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 2010
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.47.86

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Summary:imatinib治療開始後,3度の急性転化(BC)を繰り返す度に化学療法でBCR/ABLが減少,消失し,救援可能であった高齢者・慢性骨髄性白血病(CML)の1例を報告する.症例は70歳台の女性.67歳時に慢性期CML(-CP)と診断,imatinib治療を開始し,Ph染色体は減少していたが,10カ月後に重度の皮疹が出現したため中止した.その3カ月後に骨髄性急性転化(MBC)を発症したため,AdVPなど化学療法を行う一方,imatinibを再開し,CPに回復(return to CP;RTC),Ph染色体は消失,BCR/ABLは著減した.その1年1カ月後,imatinib治療を継続していたにもかかわらず,2度目のMBCを発症した.VPを中心とする化学療法を行う一方,imatinibに抵抗性を示したと考え中止,その後,再びRTCとなり,Ph染色体とBCR/ABLは消失した.その1年後に3度目のMBCを発症したが,Ara-CとDNRを中心とする化学療法が奏効しRTCとなり,BCR/ABLは減少した.骨髄移植が不可能な高齢発症のCML-MBC症例であっても,imatinibと化学療法を適切に併用することにより,比較的長期の生存が可能であることが示された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.47.86