匠の技>私の口唇裂・口蓋裂患者に対する矯正歯科治療

私が口唇裂・口蓋裂患者の矯正歯科治療に携わるようになってから 40年以上が経過した。本稿では,これまでの経験を基に現在私が考えている口唇裂・口蓋裂患者に対する矯正歯科治療について述べる。内容は,術前顎矯正治療,顎裂部骨移植,矯正歯科治療,外科的矯正治療,保定と歯の欠損に対する処置,両側裂への対応,外科医へのフィードバックについてである。矯正歯科治療に関しては,基本的治療方針,乳歯列期,混合歯列期,永久歯列期の治療について述べた。私の基本的矯正歯科治療方針は, a)上顎の拡大は極力控える, b)臼歯部反対咬合を上顎歯列の前方移動で解消する, c)顎裂部の歯列空隙は,なるべく歯の移動で閉じる, d...

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Bibliographic Details
Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 49; no. 3; pp. 191 - 201
Main Author 須佐美, 隆史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 2024
Subjects
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate.49.191

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Summary:私が口唇裂・口蓋裂患者の矯正歯科治療に携わるようになってから 40年以上が経過した。本稿では,これまでの経験を基に現在私が考えている口唇裂・口蓋裂患者に対する矯正歯科治療について述べる。内容は,術前顎矯正治療,顎裂部骨移植,矯正歯科治療,外科的矯正治療,保定と歯の欠損に対する処置,両側裂への対応,外科医へのフィードバックについてである。矯正歯科治療に関しては,基本的治療方針,乳歯列期,混合歯列期,永久歯列期の治療について述べた。私の基本的矯正歯科治療方針は, a)上顎の拡大は極力控える, b)臼歯部反対咬合を上顎歯列の前方移動で解消する, c)顎裂部の歯列空隙は,なるべく歯の移動で閉じる, d)瘢痕組織により口蓋側転位した歯は抜歯を考える, e)混合歯列期までに顎裂の影響を最小限にする,f)ボーダーライン症例では,外科的矯正治療を考える, g)患者負担の軽減のためにできるだけ効率のよい治療計画を立てる,である。本稿がこれからの治療を担って行かれる若い先生方の参考になればと考えている。
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate.49.191