開口制限を伴う顎関節症患者に対するJog-manipulation techniqueの短期的治療効果-ランダム化比較試験による評価
Manipulation technique(MAT)は非侵襲的でコストの低い方法として,開口制限を有する顎関節症患者の初期治療に用いられているが,臨床的な研究において本治療法の有効性は明らかにされていない。この研究ではMATの臨床的有効性を明らかにする目的で,自律運動療法を単独で適用した群と,自律運動療法とMATの療法を適用した群との間で,臨床的な効果に関して定量的な比較を行った。被験者は,35mm以下の開口制限を有する34名の顎関節症患者を選択し,ブロックランダム化に基づいて2群に分割した。MATは,本外来で考案したJog-manipulation technique(J-MAT)を使用し...
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Published in | 日本顎関節学会雑誌 Vol. 22; no. 2; pp. 84 - 91 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本顎関節学会
2010
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Subjects | |
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ISSN | 0915-3004 1884-4308 |
DOI | 10.11246/gakukansetsu.22.84 |
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Summary: | Manipulation technique(MAT)は非侵襲的でコストの低い方法として,開口制限を有する顎関節症患者の初期治療に用いられているが,臨床的な研究において本治療法の有効性は明らかにされていない。この研究ではMATの臨床的有効性を明らかにする目的で,自律運動療法を単独で適用した群と,自律運動療法とMATの療法を適用した群との間で,臨床的な効果に関して定量的な比較を行った。被験者は,35mm以下の開口制限を有する34名の顎関節症患者を選択し,ブロックランダム化に基づいて2群に分割した。MATは,本外来で考案したJog-manipulation technique(J-MAT)を使用した。本法は,種々の開口制限に合わせるため,ピボットを使用した閉口型と側方型,開口型の3種類の異なったMATを組み合わせたものである。また自律運動療法としては,両側の臼歯部に置いた二指で,顎運動に合わせて下顎を下方に牽引する,後方牽引型の自律運動療法を使用した。 治療による症状の変化を評価するために,術前,術後,2,4,6週において,痛みのNumerical Rating Scale(NRS)と開口量を記録した。 その結果,2群間の疼痛NRSには,統計学的な差を認めず,痛みの軽減においてMATの有効性は示されなかった。一方,開口量は自律運動療法単独群に対して,J-MATを併用した群では,二元配置による全体的な比較,および術後の比較において有意差を認め,J-MATが開口量の増加において有効なことが確認された。以上の結果より,Jog-manipulation techniqueは,顎関節症患者の開口制限を早期に改善する効果があると判断された。 |
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ISSN: | 0915-3004 1884-4308 |
DOI: | 10.11246/gakukansetsu.22.84 |