腸重積を契機に診断に至った孤発性IgG4関連小腸病変の1例

症例は84歳の女性で,2日前より間欠的な右下腹部痛が出現し,改善を認めないため当院を受診した.診察上,右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知し,造影CTでは上行結腸に浮腫状の変化と腸管の陥入像を認め腸重積と診断した.開腹所見では,上行結腸へ小腸の陥入を認め,回盲部切除術を施行し手術終了とした.切除検体で,重積腸管の先進部にあたる回腸末端から15 cm口側部分に弾性軟のポリープ状の腫瘤性病変を認めた.腫瘤性病変は,HE染色でリンパ球と形質細胞の浸潤を認め,免疫組織化学的染色にてIgG4陽性/IgG陽性細胞比が89%で,IgG4陽性の形質細胞は243/HPFであった.IgG4関連疾患を疑い施行した血液検査...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 10; pp. 648 - 655
Main Authors 五十嵐, 雅仁, 康, 祐大, 山下, 裕玄, 高山, 忠利, 山崎, 慎太郎, 山岸, 俊介, 岡村, 行泰, 東風, 貢, 三塚, 裕介, 稲垣, 周
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.10.2022
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2021.0150

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Summary:症例は84歳の女性で,2日前より間欠的な右下腹部痛が出現し,改善を認めないため当院を受診した.診察上,右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知し,造影CTでは上行結腸に浮腫状の変化と腸管の陥入像を認め腸重積と診断した.開腹所見では,上行結腸へ小腸の陥入を認め,回盲部切除術を施行し手術終了とした.切除検体で,重積腸管の先進部にあたる回腸末端から15 cm口側部分に弾性軟のポリープ状の腫瘤性病変を認めた.腫瘤性病変は,HE染色でリンパ球と形質細胞の浸潤を認め,免疫組織化学的染色にてIgG4陽性/IgG陽性細胞比が89%で,IgG4陽性の形質細胞は243/HPFであった.IgG4関連疾患を疑い施行した血液検査ではIgG4 1,020 mg/dlと高値でありIgG4関連疾患と診断した.術後,血清IgG4値は改善したが,術後2か月時に再上昇を認めたためステロイド治療を開始した.治療開始2か月後,消化管出血を生じたためステロイド治療は中断したが,その後10か月,新規病変の出現を認めていない.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2021.0150