多項目自動血球分析装置XE2100(シスメックス)のDIFFスキャタグラムにおける側方蛍光低値から発見された異常ヘモグロビン症の4例

シスメックス社のXE2100(以下XE)を使用した白血球分類において,新生児検体のDIFFスキャタグラムは側方蛍光が低い位置に分布すること(低SFL現象)が知られているが,当検査部では成人で明らかな低SFL現象を呈した症例を5年間で6症例認めた。今回我々はこの6症例のうち承諾を得られた4症例について検討を行った。DIFFスキャタグラムの分布位置をNEUT-Yを用いて比較したところ4症例は正常検体,新生児検体の平均と比較して有意に分布位置が低かった。また,正常検体,新生児検体,症例検体をそれぞれ赤血球と白血球に分離して,正常赤血球+新生児白血球,新生児赤血球+正常白血球,正常赤血球+症例白血球,...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 66; no. 2; pp. 96 - 102
Main Authors 新井, 慎平, 本田, 孝行, 中越, りつこ, 竹澤, 由夏, 奥村, 伸生, 菅野, 光俊, 向井, 早紀, 松田, 和之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 2017
Japanese Association of Medical Technologists
Subjects
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.16-63

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Summary:シスメックス社のXE2100(以下XE)を使用した白血球分類において,新生児検体のDIFFスキャタグラムは側方蛍光が低い位置に分布すること(低SFL現象)が知られているが,当検査部では成人で明らかな低SFL現象を呈した症例を5年間で6症例認めた。今回我々はこの6症例のうち承諾を得られた4症例について検討を行った。DIFFスキャタグラムの分布位置をNEUT-Yを用いて比較したところ4症例は正常検体,新生児検体の平均と比較して有意に分布位置が低かった。また,正常検体,新生児検体,症例検体をそれぞれ赤血球と白血球に分離して,正常赤血球+新生児白血球,新生児赤血球+正常白血球,正常赤血球+症例白血球,症例赤血球+正常白血球の混合液を作成しXEで測定したところ,新生児赤血球,症例赤血球が存在するときにのみ低SFL現象が再現されたため,原因は赤血球側にあると推測した。我々はXEの前機種であるNE7000(シスメックス)の使用時に,白血球スキャタグラムに異常がみられる検体のうち赤血球側に原因があった症例の中から異常ヘモグロビンのHbC,HbEを見出し報告している。そこで今回の4症例が異常ヘモグロビン症であることを疑い,遺伝子解析を行った。その結果3症例がHbJ-Calabria,1症例がHb-Yamagataの変異と一致した。低SFL現象の機序は解析できなかったが,DIFFスキャタグラムの観察により異常ヘモグロビン症が見出せることは非常に興味深いことである。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.16-63