重症くも膜下出血例の急性期におけるgrade改善 対光反射の有無に関連して
重症くも膜下出血の治療成績は依然として満足すべきものではなく, 急性期の手術適応に関しては議論が絶えない3)4)5)9)13)18)20)21). われわれはこれまで, 来院時重症くも膜下出血症例のうち, massiveな脳内血腫や硬膜下血腫が重症度に関与していると考えられた症例ではただちにそれらの処置とともに動脈瘤根治術を施行してきた17). また, 脳室内血腫や水頭症が重症度に関与していると考えられた症例では緊急脳室ドレナージを施行し, 状態の改善が得られれば根治手術を行う方針としてきた17). 上記のごとき病態を伴わず重症度の原因がくも膜下出血のみの症例では, いったん経過観察としその後...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 33; no. 4; pp. 268 - 272 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2005
日本脳卒中の外科学会 |
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ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs.33.268 |
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Summary: | 重症くも膜下出血の治療成績は依然として満足すべきものではなく, 急性期の手術適応に関しては議論が絶えない3)4)5)9)13)18)20)21). われわれはこれまで, 来院時重症くも膜下出血症例のうち, massiveな脳内血腫や硬膜下血腫が重症度に関与していると考えられた症例ではただちにそれらの処置とともに動脈瘤根治術を施行してきた17). また, 脳室内血腫や水頭症が重症度に関与していると考えられた症例では緊急脳室ドレナージを施行し, 状態の改善が得られれば根治手術を行う方針としてきた17). 上記のごとき病態を伴わず重症度の原因がくも膜下出血のみの症例では, いったん経過観察としその後の状態の変化をみながら治療方針を決定してきた. このような症例を集計してみると, 来院時Grade Vの症例群の経過観察中の状態改善率は来院時Grade IVの症例よりも有意に低かったが, なかには急性期に状態が改善し外科的治療により予後良好な症例も存在していた16)17). そこで, なぜGrade Vの状態改善率が低いのか, また, Grade Vの症例の中で状態が改善する症例と改善しない症例に何か違いはないのかと考え今回のretrospectiveな検討を試みた. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.33.268 |