スピン偏極パルスTEMにおける超高速時間分解能とそのビーム品質

スピン偏極パルス透過電子顕微鏡は,半導体フォトカソードを用いたレーザー駆動型電子顕微鏡である.そのカソード量子効率は0.1%台と高いことから,連続的(CW)な電子線発生からピコ秒パルス電子発生までのダイナミックレンジを持つ希有な透過電子顕微鏡である.これまでにCWモードにおいて,3.1 × 108 A/cm2・sr@200 keVの高い輝度,エネルギー幅114 meVの単色性,そして可干渉距離150 nm以上(平行度(1.76 ± 0.3) × 10–5 rad)の干渉性を有することを実証した.これまでに,パルス電子線発生やポンププローブ実験のためのレーザー光学系を確立し,マイクロ秒からピコ秒...

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Published in顕微鏡 Vol. 50; no. 3; pp. 151 - 155
Main Authors 桑原, 真人, 宇治原, 徹, 浅野, 秀文, 田中, 信夫, 齋藤, 晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本顕微鏡学会 30.12.2015
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ISSN1349-0958
2434-2386
DOI10.11410/kenbikyo.50.3_151

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Summary:スピン偏極パルス透過電子顕微鏡は,半導体フォトカソードを用いたレーザー駆動型電子顕微鏡である.そのカソード量子効率は0.1%台と高いことから,連続的(CW)な電子線発生からピコ秒パルス電子発生までのダイナミックレンジを持つ希有な透過電子顕微鏡である.これまでにCWモードにおいて,3.1 × 108 A/cm2・sr@200 keVの高い輝度,エネルギー幅114 meVの単色性,そして可干渉距離150 nm以上(平行度(1.76 ± 0.3) × 10–5 rad)の干渉性を有することを実証した.これまでに,パルス電子線発生やポンププローブ実験のためのレーザー光学系を確立し,マイクロ秒からピコ秒パルス電子線発生の確認,時間分解TEM像の取得を実現した.さらにピコ秒パルス電子線を用いた干渉実験を実施し,コヒーレンスの高いパルス電子線であることや,位相情報の時間分解測定が本装置で可能であることを確かめた.
ISSN:1349-0958
2434-2386
DOI:10.11410/kenbikyo.50.3_151