不完全真菌Candida tropicalisの二形性におけるMAPキナーゼの役割
不完全真菌Candida tropicalis (C. tropicalis)はグルコースを炭素源とする合成液体培地にエタノールを2.5%添加すると多細胞性の菌糸型増殖を示す。本研究では液体培養で経時的に生理的及び形態的な細胞の変化として追跡することができるC. tropicalis,Pk233株を用いて、菌糸形成に関与すると予想されるMAPキナーゼをコードする遺伝子の単離を行った。Candida albicansのMAPキナーゼCek1、Saccharomyces cerevisiaeのMAPキナーゼKss1、Fus3の3つのMAPキナーゼで高度に保存されたアミノ酸配列を選定してデザインした...
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Published in | Program and Abstracts of Annual Meeting of the Japanese Society for Medical Mycology Vol. 51; p. 123 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医真菌学会
2007
The Japanese Society for Medical Mycology |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-4804 |
DOI | 10.11534/jsmm.51.0.123.0 |
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Summary: | 不完全真菌Candida tropicalis (C. tropicalis)はグルコースを炭素源とする合成液体培地にエタノールを2.5%添加すると多細胞性の菌糸型増殖を示す。本研究では液体培養で経時的に生理的及び形態的な細胞の変化として追跡することができるC. tropicalis,Pk233株を用いて、菌糸形成に関与すると予想されるMAPキナーゼをコードする遺伝子の単離を行った。Candida albicansのMAPキナーゼCek1、Saccharomyces cerevisiaeのMAPキナーゼKss1、Fus3の3つのMAPキナーゼで高度に保存されたアミノ酸配列を選定してデザインした縮重プライマーを用いてPCRを行い、CEK1遺伝子と高い相同性を示すクローンを得た。このクローンをもとにCEK1ホモログ遺伝子全長のクローニングを行った結果、Cek1とアミノ酸配列全体で80%の相同性を示し、構造的にも活性中心にTEYのアミノ酸モチーフをもつことがわかった。そこで、C. tropicalisにおけるCEK1ホモログという意味でCtEK1と命名した。次にC. tropicalisでの菌糸形成におけるCtek1の関与を明らかにするために遺伝子破壊を行った。その結果、菌糸誘導条件であるエタノールを添加した培地において短い菌糸の形成は見られたが、その後の菌糸伸長を維持できなかった。さらに、CtEK1野性株では菌糸伸長の時期にリン酸化が生じており、Ctek1が菌糸伸長の維持に関わっていることが示唆された。 |
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Bibliography: | P-93 |
ISSN: | 0916-4804 |
DOI: | 10.11534/jsmm.51.0.123.0 |