Ankle Brachial Pressure Index(ABI)検査による大動脈弁閉鎖不全症の評価
大動脈弁閉鎖不全症(Aortic Regurgitation; AR)は大動脈弁の閉鎖不全により大動脈から左心室へ血流の逆流を生じる病態で,重症化し症状が出現すると外科的治療を要するため重症度を評価することは重要である。足関節上腕血圧比(Ankle Brachial Pressure Index; ABI)は閉塞性動脈硬化症のスクリーニング検査として用いられ,AR患者において偽高値になると言われている。今回,ABI検査にて計測される項目と心エコー図検査によるARの重症度を後方視的に比較検討した。対象は期間内に当院にてABI検査と心エコー図検査による逆流率の計測を同時期に行った患者85名(平均年...
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Published in | 医学検査 Vol. 65; no. 1; pp. 18 - 24 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
2016
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Subjects | |
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Summary: | 大動脈弁閉鎖不全症(Aortic Regurgitation; AR)は大動脈弁の閉鎖不全により大動脈から左心室へ血流の逆流を生じる病態で,重症化し症状が出現すると外科的治療を要するため重症度を評価することは重要である。足関節上腕血圧比(Ankle Brachial Pressure Index; ABI)は閉塞性動脈硬化症のスクリーニング検査として用いられ,AR患者において偽高値になると言われている。今回,ABI検査にて計測される項目と心エコー図検査によるARの重症度を後方視的に比較検討した。対象は期間内に当院にてABI検査と心エコー図検査による逆流率の計測を同時期に行った患者85名(平均年齢70.2 ± 10.8歳,男性60名,女性25名)に対して検討した。結果,ABI検査にて得られる項目のうち,AR重症度と有意差を認めたのは下肢脈圧(p < 0.01)とABI(p < 0.01)だった。下肢脈圧はAR軽度-重度間(p < 0.01)と中等度-重度間(p < 0.05)に有意差を認めた,ABIは全ての重症度間(軽度-中等度;p < 0.05,中等度-重度;p < 0.01,軽度-重度;p < 0.01)に有意差を認めた。AR逆流率との相関関係は,下肢脈圧(r = 0.43, p < 0.01)とABI(r = 0.45, p < 0.01)に有意な相関関係を認めた。ROC解析では重度ARとなる下肢脈圧のcut off値は104 mmHg,ABIのcut off値は1.32だった。今回の検討より,下肢脈圧とABIはARの重症度と関連が示唆され,ABI検査はARの重症度評価の一助になり得ると考えられた。 |
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ISSN: | 0915-8669 2188-5346 |
DOI: | 10.14932/jamt.15-29 |