高度の門脈ガス像を呈した非閉塞性腸管梗塞(nonocclusive mesenteric infarction)の1例

症例は78歳,男性。十二指腸乳頭部癌の診断で,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織診断は,高分化腺癌,pPanc2,pN0,pEM0,Stage IVaであった。術後,創感染・腸瘻形成等により長期間経口摂取不能で,高カロリー経腸栄養療法を行っていた。時々腹痛を認めたが,対症療法でコントロールされていた。術後95病日,腹痛および炎症所見が悪化し,腹部CT検査で門脈および上腸間膜静脈内に著明なガス像を認め,腸管壊死を疑い緊急手術を施行した。Bauhin弁より約15cmの回腸から十二指腸空腸吻合部近傍まで,分節状に散在する虚血性変化と小腸粘膜下気腫,腸間膜内気腫を認めた。明らかな動脈閉塞...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 28; no. 1; pp. 101 - 104
Main Authors 永橋, 昌幸, 牧野, 成人, 岡本, 春彦, 田宮, 洋一, 畠山, 勝義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2008
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Summary:症例は78歳,男性。十二指腸乳頭部癌の診断で,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織診断は,高分化腺癌,pPanc2,pN0,pEM0,Stage IVaであった。術後,創感染・腸瘻形成等により長期間経口摂取不能で,高カロリー経腸栄養療法を行っていた。時々腹痛を認めたが,対症療法でコントロールされていた。術後95病日,腹痛および炎症所見が悪化し,腹部CT検査で門脈および上腸間膜静脈内に著明なガス像を認め,腸管壊死を疑い緊急手術を施行した。Bauhin弁より約15cmの回腸から十二指腸空腸吻合部近傍まで,分節状に散在する虚血性変化と小腸粘膜下気腫,腸間膜内気腫を認めた。明らかな動脈閉塞はなく,非閉塞性腸管梗塞と診断し,広範囲の小腸切除,空腸瘻,回腸粘液瘻造設術を施行した。術後,一旦状態は安定したが,3ヵ月目に残存小腸から大量出血をきたし死亡した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.28.101