BCG(Bacillus Calmette–Guérin)膀胱内注入療法後に発症した陰嚢皮膚結核性肉芽腫の一例

今回,我々はBCG(Bacillus Calmette–Guérin)膀胱内注入療法後に陰嚢皮膚結核性肉芽腫を発症した1症例を経験した。患者は74歳男性で,2008年から2015年まで膀胱癌による治療として経尿道的膀胱腫瘍切除術後,補助療法としてBCG膀胱注入療法を施行した。2度目のBCG膀胱注入療法の1ヶ月後に右陰嚢に皮膚結節を自覚し,当院皮膚科を受診した。生検検体から抗酸菌が発育,PCR法及びイムノクロマト法の同定法でMycobacterium tuberculosis complexと同定した。今後の治療や感染制御を実施する上でM. tuberculosisとM. bovis BCGの鑑...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 66; no. 2; pp. 147 - 151
Main Authors 荻原, 真二, 木下, 真直, 井上, 修, 内田, 幹, 長田, 誠, 雨宮, 憲彦, 井上, 克枝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 2017
Japanese Association of Medical Technologists
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Summary:今回,我々はBCG(Bacillus Calmette–Guérin)膀胱内注入療法後に陰嚢皮膚結核性肉芽腫を発症した1症例を経験した。患者は74歳男性で,2008年から2015年まで膀胱癌による治療として経尿道的膀胱腫瘍切除術後,補助療法としてBCG膀胱注入療法を施行した。2度目のBCG膀胱注入療法の1ヶ月後に右陰嚢に皮膚結節を自覚し,当院皮膚科を受診した。生検検体から抗酸菌が発育,PCR法及びイムノクロマト法の同定法でMycobacterium tuberculosis complexと同定した。今後の治療や感染制御を実施する上でM. tuberculosisとM. bovis BCGの鑑別が必要となった。今回実施したPCR法で,M. bovis BCGと診断され,患者に適切な治療を施すことができた。日常業務で遭遇するM. tuberculosis complexのほとんどは,M. tuberculosisでありM. bovis BCGの感染症は極めて少ない。しかし,今回の症例を通して,膀胱癌患者の泌尿器検体ではM. bovis BCGを念頭に入れ検査を進めていくことを再認識した一症例であった。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.16-45