内頸動脈後交通動脈分岐部動脈瘤クリッピング術における工夫 oculomotor cistern開放
はじめに 内頸動脈・後交通動脈分岐部(IC-PC)動脈瘤のクリッピングは,一般的には容易な手術と考えられることが多い10).しかし,たとえば高齢者で動脈硬化が強く,走行偏位もあり動脈瘤へのアプローチも困難な場合もある.このような場合のわれわれの1つの工夫を報告する.症例82歳,女性.午後11時頃自宅で突然の頭痛が出現し,近くの病院に救急搬送され,頭部CTにてくも膜下出血を認めて当院に転送された.当院到着時,傾眠傾向だが四肢に麻痺なし.瞳孔に左右差なく2.5mm大で両側眼球運動制限なし.CTでは脳底槽と右側優位の両側シルビウス裂中心の淡いくも膜下出血で,軽い脳室内血腫と軽度の水頭症を伴っていた(...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 35; no. 4; pp. 312 - 316 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2007
日本脳卒中の外科学会 |
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ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs.35.312 |
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Summary: | はじめに 内頸動脈・後交通動脈分岐部(IC-PC)動脈瘤のクリッピングは,一般的には容易な手術と考えられることが多い10).しかし,たとえば高齢者で動脈硬化が強く,走行偏位もあり動脈瘤へのアプローチも困難な場合もある.このような場合のわれわれの1つの工夫を報告する.症例82歳,女性.午後11時頃自宅で突然の頭痛が出現し,近くの病院に救急搬送され,頭部CTにてくも膜下出血を認めて当院に転送された.当院到着時,傾眠傾向だが四肢に麻痺なし.瞳孔に左右差なく2.5mm大で両側眼球運動制限なし.CTでは脳底槽と右側優位の両側シルビウス裂中心の淡いくも膜下出血で,軽い脳室内血腫と軽度の水頭症を伴っていた(Fig.1).両側内頸動脈壁の石灰化も認められた.3D-CTAでは,左IC-PCに後方やや外側向きに突出した2×3mmの棍棒状の動脈瘤を認めた(Fig.2).高齢であったが家人の希望あり,翌日にクリッピング術を施行した.左前頭側頭開頭によりシルビウス裂を開き,内頸動脈に達した.内頸動脈は壁が黄色で硬化が強く,後方に屈曲して走行していた(Fig.3A). |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.35.312 |