脊髄膠様質細胞の興奮性シナプス伝達に対する活性酸素の作用

[はじめに]活性酸素種(reactive oxygen species: ROS)とは生体内のエネルギー代謝や感染防御過程において発生する, 酸素分子(O2)に由来し反応性に富む一群の分子種を指し, その代表的なものとしてスーパーオキシド(O2-), 過酸化水素(H2O2)などが挙げられる. ROSは, 癌, 動脈硬化, リウマチ, 老化および神経疾患といったさまざまな疾病との関連が報告されている. ROSは種々のfree radicalとH2O2などの分子種からなり, 正常では細胞内でその強力な酸化作用により生体防御に利用されている. しかし, 脊髄損傷や一過性脊髄虚血後の再灌流障害などによ...

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Published inPAIN RESEARCH Vol. 27; no. 3; pp. 143 - 153
Main Authors 櫻井, 悠加, 川崎, 康彦, 中塚, 映政, 瀧口, 登, 谷口, 亘, 松川, 澄, 清行, 康邦, 西尾, 尚子, 杉村, 弥恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 10.08.2012
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Summary:[はじめに]活性酸素種(reactive oxygen species: ROS)とは生体内のエネルギー代謝や感染防御過程において発生する, 酸素分子(O2)に由来し反応性に富む一群の分子種を指し, その代表的なものとしてスーパーオキシド(O2-), 過酸化水素(H2O2)などが挙げられる. ROSは, 癌, 動脈硬化, リウマチ, 老化および神経疾患といったさまざまな疾病との関連が報告されている. ROSは種々のfree radicalとH2O2などの分子種からなり, 正常では細胞内でその強力な酸化作用により生体防御に利用されている. しかし, 脊髄損傷や一過性脊髄虚血後の再灌流障害などによりフリーラジカルが細胞内から放出されると二次損傷を引き起こすことや, 筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患においても細胞内でのROSの増加が関与していることが報告されており, 本来の生体防御から逸脱した作用を有することがわかっている10).
ISSN:0915-8588
2187-4697
DOI:10.11154/pain.27.143