マウス有郭乳頭味蕾の発達過程におけるモノアミンについて

生後0日から21日までのマウスにモノアミン前駆物質を投与し, 有郭乳頭の味蕾を電子顕微鏡および螢光組織化学的方法により検索した. 第1期 (0-1日) の味蕾には味孔はまだ形成されていないが, 味 (第III型) 細胞の分化はすでに始まっていた. この細胞は神経終末との間に未熟型の求心性シナプスを有していた. しかしモノアミン前駆物質である5-HTPまたはL-DOPA投与後の味蕾には特異的螢光細胞は認められなかった. 第2期 (2-7日) の味蕾には味孔が形成され, さらに成熟したシナプス, 第I型細胞および第II型細胞が出現した. また5-HTPあるいはL-DOPA投与後の味蕾に螢光細胞が出...

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Published inArchivum histologicum japonicum Vol. 44; no. 5; pp. 485 - 495
Main Authors 武田, 正子, 宍戸, 洋子, 北尾, 研二, 鈴木, 裕子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 国際組織細胞学会 1981
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Summary:生後0日から21日までのマウスにモノアミン前駆物質を投与し, 有郭乳頭の味蕾を電子顕微鏡および螢光組織化学的方法により検索した. 第1期 (0-1日) の味蕾には味孔はまだ形成されていないが, 味 (第III型) 細胞の分化はすでに始まっていた. この細胞は神経終末との間に未熟型の求心性シナプスを有していた. しかしモノアミン前駆物質である5-HTPまたはL-DOPA投与後の味蕾には特異的螢光細胞は認められなかった. 第2期 (2-7日) の味蕾には味孔が形成され, さらに成熟したシナプス, 第I型細胞および第II型細胞が出現した. また5-HTPあるいはL-DOPA投与後の味蕾に螢光細胞が出現した. 第3期 (14-21日) では, 5-HTP投与後の味細胞に微細構造の変化が生じた. すなわち未処置例ではほとんど見られない小有芯小胞 (直径30-60nm) が胞体全体に散在性に出現し, さらにこれは前シナプス膜に集積する明小胞の間にも認められた. また胞体に散在する大有芯小胞 (80-100nm) の芯の電子密度が, 未処置例に比べ増加した. このような結果から, 味細胞によるモノアミン前駆物質の取り込み能力は, 味孔および成熟したシナプスの形成と同時に生じると考えられる.
ISSN:0004-0681
DOI:10.1679/aohc1950.44.485