大阪および中国地方における猫の甲状腺機能亢進症の発生

動物病院に来院した大阪および中国地方の高齢猫112頭において無作為に血清サイロキシン (T4) 濃度を測定したところ, 10頭 (8.9%) が4.0μg/dl以上の高値を示し, 猫の甲状腺機能亢進症 (FHT) と診断した.FHTの猫において, 体重減少, 嘔吐, 食欲低下および頻脈がみられた. すべての猫で甲状腺は触知されなかった. 血液化学検査ではFHTの猫は高い血清ALTとALP値を示した. 本研究ではFHTの発生と食餌の型体との関係は認められなかった. FHTはこの地域においてもまれな疾患ではないと考えられ, 高齢猫で体重減少, 嘔吐, 食欲低下, 頻脈, またはALTおよびALP値...

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Published in日本獣医師会雑誌 Vol. 55; no. 5; pp. 289 - 292
Main Authors 宮本, 忠, 宮田, 育子, 黒羽, 研二, 上島, 弓佳, 谷, 浩行, 笹井, 和美, 馬場, 栄一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 2002
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Summary:動物病院に来院した大阪および中国地方の高齢猫112頭において無作為に血清サイロキシン (T4) 濃度を測定したところ, 10頭 (8.9%) が4.0μg/dl以上の高値を示し, 猫の甲状腺機能亢進症 (FHT) と診断した.FHTの猫において, 体重減少, 嘔吐, 食欲低下および頻脈がみられた. すべての猫で甲状腺は触知されなかった. 血液化学検査ではFHTの猫は高い血清ALTとALP値を示した. 本研究ではFHTの発生と食餌の型体との関係は認められなかった. FHTはこの地域においてもまれな疾患ではないと考えられ, 高齢猫で体重減少, 嘔吐, 食欲低下, 頻脈, またはALTおよびALP値の上昇が認められるものは甲状腺機能検査として, T4の測定を行うべきであることが示唆された.
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma1951.55.289