弧立性上腸間膜動脈解離の 5 例

大動脈の解離を伴わない孤立性上腸間膜動脈(SMA)解離は,稀な疾患である.一旦生じると破裂や血栓性閉塞による腸管虚血を合併するため外科的手術を必要とする疾患と考えられている.SMA解離について報告例は少なく,臨床経過も不明であるため治療方針も確立されていない.近年,画像診断の進歩に伴い報告例は増加傾向にあり,保存的治療にて軽快した症例も少なくない.2000年から2006年の間に,保存的治療にて治療しえた孤立性SMA解離 5 例を経験した.1 例のみ切迫する腹痛にて試験開腹を行ったが,SMAの拍動も良好で,腸管虚血を認めず外科的治療を必要としなかった.全症例とも再発を認めていない.本邦報告例を検...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 18; no. 4; pp. 517 - 521
Main Authors 出雲, 明彦, 内田, 孝之, 安藤, 廣美, 安恒, 亨, 田中, 二郎, 鮎川, 勝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 25.06.2009
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Summary:大動脈の解離を伴わない孤立性上腸間膜動脈(SMA)解離は,稀な疾患である.一旦生じると破裂や血栓性閉塞による腸管虚血を合併するため外科的手術を必要とする疾患と考えられている.SMA解離について報告例は少なく,臨床経過も不明であるため治療方針も確立されていない.近年,画像診断の進歩に伴い報告例は増加傾向にあり,保存的治療にて軽快した症例も少なくない.2000年から2006年の間に,保存的治療にて治療しえた孤立性SMA解離 5 例を経験した.1 例のみ切迫する腹痛にて試験開腹を行ったが,SMAの拍動も良好で,腸管虚血を認めず外科的治療を必要としなかった.全症例とも再発を認めていない.本邦報告例を検索するにわれわれの症例も含め56例の報告が認められた.SMA解離は,腹痛における鑑別疾患として重要で,迅速な診断により重症度を評価し,適切な治療(外科的または保存的)を選択すべきである.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18.517