合成抗菌剤T-3262のラット6ヵ月間経口投与慢性毒性試験

新しいピリドンカルボン酸系合成抗菌剤であるT-3262の, ラット6ヵ月間経口投与慢性毒性試験を80mg/kg, 400mg/kg, 2000mg/kgの用量群を設定して行ない, 以下の結果を得た。 1) 2000mg/kg, 400mg/kg群で軽度の軟便が観察されたが発育は順調であり, 対照群に較べ体重が増加する傾向があった。 2) 尿沈渣中に, 検体析出によると思われる結晶が, 2000mg/kg, 400mg/kg群の3~9/20例に, 80mg/kg群の1/20例にそれぞれ観察された。 3) AIG比の上昇が2000mg/kg, 400mg/kg群で認められ, 蛋白分画ではβあるいは...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 36; no. Supplement9-Base; pp. 233 - 249
Main Authors 米田, 豊昭, 河村, 泰仁, 柴田, 哲夫, 長沢, 峰子, 吉田, 一晴, 鬼頭, 暢子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1988
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Summary:新しいピリドンカルボン酸系合成抗菌剤であるT-3262の, ラット6ヵ月間経口投与慢性毒性試験を80mg/kg, 400mg/kg, 2000mg/kgの用量群を設定して行ない, 以下の結果を得た。 1) 2000mg/kg, 400mg/kg群で軽度の軟便が観察されたが発育は順調であり, 対照群に較べ体重が増加する傾向があった。 2) 尿沈渣中に, 検体析出によると思われる結晶が, 2000mg/kg, 400mg/kg群の3~9/20例に, 80mg/kg群の1/20例にそれぞれ観察された。 3) AIG比の上昇が2000mg/kg, 400mg/kg群で認められ, 蛋白分画ではβあるいはγグロブリン比が減少を示した。AIG比上昇は休薬により回復を示した。 4) 用量依存性の盲腸腔の拡張が, 各投与群の全例に観察された。 5) 組織学的検査では, 腎尿細管腔での結晶析出が, 2000mg/kg群の5/34例, 400mg/kg群の3/38例に観察された。また, 2000mgなkg群と400mg/kg群の少数例に, 腎皮質の間質細胞浸潤が軽度に認められた。2000mg/kg群の2例に, 尿細管上皮の変性, 腔の拡張, 尿細管円柱が・また400mg/kg群の1例に, 尿細管上皮の変性壊死がそれぞれ軽度~中等度に認められた。 6) 最大無影響量は80mg/kgであった。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.36.Supplement9-Base_233