腹腔鏡下に緊急切除した空腸粘膜下動脈瘤

小腸粘膜下動脈瘤は,破裂により突然の大量下血,ショック状態を来す.術前診断や病変位置の確定が難しいため,緊急開腹により切除されることが多く,腹腔鏡下での切除はほとんどない.今回,腹腔鏡下に緊急切除しえた空腸粘膜下動脈瘤の破裂例を経験した.24歳の女性が大量下血しショック状態となった.CTで小腸出血と診断し,血管造影により出血部位を確定した.続いてマイクロコイルによる血管塞栓止血術を行ったが完全には止血できず,緊急手術となった.術中透視でマイクロコイルを確認することにより病変の位置を確定し,安全かつ低侵襲に腹腔鏡下に切除しえた.小腸粘膜下動脈瘤の破裂例でも低侵襲に腹腔鏡下での緊急切除が可能である...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 49; no. 9; pp. 905 - 910
Main Authors 内藤, 雅人, 佐藤, 文平, 木田, 睦士, 村田, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2016
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Summary:小腸粘膜下動脈瘤は,破裂により突然の大量下血,ショック状態を来す.術前診断や病変位置の確定が難しいため,緊急開腹により切除されることが多く,腹腔鏡下での切除はほとんどない.今回,腹腔鏡下に緊急切除しえた空腸粘膜下動脈瘤の破裂例を経験した.24歳の女性が大量下血しショック状態となった.CTで小腸出血と診断し,血管造影により出血部位を確定した.続いてマイクロコイルによる血管塞栓止血術を行ったが完全には止血できず,緊急手術となった.術中透視でマイクロコイルを確認することにより病変の位置を確定し,安全かつ低侵襲に腹腔鏡下に切除しえた.小腸粘膜下動脈瘤の破裂例でも低侵襲に腹腔鏡下での緊急切除が可能である.まず止血のために血管造影,マイクロコイルによる血管塞栓術を行うべきであるが,緊急切除が必要となった場合は術中透視の併用が腹腔鏡下での切除に有用である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2015.0150