術後再発に対し集学的治療を行い30年の経過を観察しえたsolid-pseudopapillary neoplasmの1例

症例は59歳の女性で,20年前に膵尾部の充実性腫瘍に対して脾臓合併膵体尾部切除術が施行され,病理組織学的検査所見よりsolid-pseudopapillary neoplasm(SPN)と診断された.以後,初回手術から10年,16年後に再発を来し,その度に腫瘍切除術を施行した.19年目の再発では化学療法を施行したが効果が乏しく,20年目に腫瘍摘出術を行うこととなった.23年目にも再発腫瘍に対する腫瘍切除術を行った.25年目には局所再発と骨転移を認め放射線治療を施行した.29年目以降,緩和ケア治療に移行し,初回手術30年後に永眠された.本症例のように局所再発に対して複数回の手術,また化学療法,放...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 57; no. 9; pp. 451 - 457
Main Authors 荒川, 敏, 堀口, 明彦, 浦野, 誠, 伊東, 昌広, 加藤, 悠太郎, 小池, 大助, 越智, 隆之, 加藤, 宏之, 浅野, 之夫, 志村, 正博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2024
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2023.0069

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Summary:症例は59歳の女性で,20年前に膵尾部の充実性腫瘍に対して脾臓合併膵体尾部切除術が施行され,病理組織学的検査所見よりsolid-pseudopapillary neoplasm(SPN)と診断された.以後,初回手術から10年,16年後に再発を来し,その度に腫瘍切除術を施行した.19年目の再発では化学療法を施行したが効果が乏しく,20年目に腫瘍摘出術を行うこととなった.23年目にも再発腫瘍に対する腫瘍切除術を行った.25年目には局所再発と骨転移を認め放射線治療を施行した.29年目以降,緩和ケア治療に移行し,初回手術30年後に永眠された.本症例のように局所再発に対して複数回の手術,また化学療法,放射線治療と集学的治療を施行し,長期経過を観察しえた症例は極めてまれと思われたので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2023.0069