Duplex超音波診断装置による透析患者内シャント血流の測定
橈骨動脈と橈側皮静脈により作成された通常の内シャントを有する慢性血液透析患者71症例に対し, Duplex超音波診断装置を用いて, 上腕動脈, 橈骨動脈, 橈側皮静脈 (シャント静脈) および尺骨動脈の血流測定を行ない臨床的評価を行なった.内シャント作成側の上腕動脈血流量は737.3±445.2ml/minで対側の10倍, 橈骨動脈の血流量は570.8±401.7m1/minで対側の28倍であった.吻合術式〔側々吻合群 (19例) ・側端吻合群 (19例) ・端々吻合群 (33例) 〕による検討では, 側々吻合群の上腕動脈, 橈骨動脈, 橈側皮静脈 (シャント静脈) , 尺骨動脈における血流量...
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Published in | 昭和医学会雑誌 Vol. 53; no. 2; pp. 138 - 145 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学学士会
1993
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Subjects | |
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ISSN | 0037-4342 2185-0976 |
DOI | 10.14930/jsma1939.53.138 |
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Summary: | 橈骨動脈と橈側皮静脈により作成された通常の内シャントを有する慢性血液透析患者71症例に対し, Duplex超音波診断装置を用いて, 上腕動脈, 橈骨動脈, 橈側皮静脈 (シャント静脈) および尺骨動脈の血流測定を行ない臨床的評価を行なった.内シャント作成側の上腕動脈血流量は737.3±445.2ml/minで対側の10倍, 橈骨動脈の血流量は570.8±401.7m1/minで対側の28倍であった.吻合術式〔側々吻合群 (19例) ・側端吻合群 (19例) ・端々吻合群 (33例) 〕による検討では, 側々吻合群の上腕動脈, 橈骨動脈, 橈側皮静脈 (シャント静脈) , 尺骨動脈における血流量は他の2群に比べ増加しており, シャント静脈の血流量は側々吻合群916.2±628.3ml/min, 側端吻合群554.2±344.2ml/min, 端々吻合群430.4±295.7ml/minであった.尺骨動脈血流量は, 側々吻合群・側端吻合群が端々吻合群に比べ増加していた.側々吻合群・側端吻合群では, 橈骨動脈遠位部からシャントに流入する血流が認められ, 尺骨動脈血が手掌動脈弓を介してシャントに流入しており, 橈骨動脈と尺骨動脈の血流量を反映する上腕動脈血流量がシャント血流量にほぼ匹敵していることが証明された.側端吻合群における慢性腎炎群 (11例) と糖尿病性腎症群 (8例) との比較では, 糖尿病性腎症群の橈骨動脈血管径・橈側皮静脈 (シャント静脈) 血管径が慢性腎炎群に比べ低値であったが, 血流量に差は認められず, 良好な内シャントが作成できれば血流量は充分確保できると考えられた.シャント血流量が2000ml/minを越える2症例に心不全が認められ, シャント血流過多による高心拍出量性心不全と診断された.本装置による内シャント血流の測定は, 無侵襲かつ容易であり, シャント血流量不足の予知や, 高心拍出量性心不全の診断に有用であり, 透析患者の長期管理に必要であると考えられた. |
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ISSN: | 0037-4342 2185-0976 |
DOI: | 10.14930/jsma1939.53.138 |