胆囊内腔との交通を有した胆囊壁内囊胞の1例

症例は77歳の男性で,健診にて肝機能障害を指摘された.近医で施行した腹部USで胆石を認め,当院消化器内科を紹介となった.精査の結果,胆石症の手術目的に当科入院となった.術前の腹部USでは胆囊頸部に3.0 cm大の囊胞を認めた.造影CT,MRIでは胆囊内に結石多数と,胆囊頸部に3.0 cm大の囊胞性病変を認めた.胆石症,胆囊腺筋腫症と診断し腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.胆囊頸部に4.0 cm大の囊胞を認め,内容は透明粘液であった.切除標本では肉眼的に胆囊内腔と交通を確認でき,病理組織学的検査所見では囊胞全体が拡張したRokitansky-Aschoff sinus(以下,RASと略記)であり,最...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 3; pp. 193 - 199
Main Authors 酒井, 健司, 中本, 蓮之助, 野呂, 浩史, 井出, 義人, 大澤, 日出樹, 畑中, 信良, 平尾, 隆文, 緒方, 正史, 大橋, 朋史, 山崎, 芳郎, 原, 修一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2021
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2020.0026

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Summary:症例は77歳の男性で,健診にて肝機能障害を指摘された.近医で施行した腹部USで胆石を認め,当院消化器内科を紹介となった.精査の結果,胆石症の手術目的に当科入院となった.術前の腹部USでは胆囊頸部に3.0 cm大の囊胞を認めた.造影CT,MRIでは胆囊内に結石多数と,胆囊頸部に3.0 cm大の囊胞性病変を認めた.胆石症,胆囊腺筋腫症と診断し腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.胆囊頸部に4.0 cm大の囊胞を認め,内容は透明粘液であった.切除標本では肉眼的に胆囊内腔と交通を確認でき,病理組織学的検査所見では囊胞全体が拡張したRokitansky-Aschoff sinus(以下,RASと略記)であり,最終診断は胆囊壁内囊胞とした.胆囊壁内囊胞は報告例が非常に少なくまれな疾患であり,臨床的・組織学的定義は確立されていない.今回,我々は胆囊内腔との交通を有した胆囊壁内囊胞の1例を経験したため報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2020.0026