Creutzfeldt-Jakob病の一例

Creutzfeldt-Jacob病 (C-J病) は多彩な神経症状を呈し進行性で予後不良な疾患である.症例は68歳, 男性.昭和61年12月より四肢知覚鈍麻, 歩行時のふらつきにて発症.症状は進行性で翌年1月には歩行不能となり言葉のもつれ, 嚥下障害も出現した為入院となった.血液生化学的には異常を認めなかったが神経学的には精神症状, 錐体路症状, 錐体外路症状, 小脳症状, 四肢の筋力低下と知覚低下を認めた.症状は治療に反応せず入院4週には失外套状態となり, 呼吸器感染症を併発, 敗血症と呼吸不全により16週にて死亡した.脳CTでは進行性に大脳の萎縮を認めた.脳波では周期性同期性放電が症状の...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 52; no. 3; pp. 343 - 348
Main Authors 青木, 明, 西田, 均, 舩富, 等, 向井, 常人, 水野, 健朗, 八田, 善夫, 小林, 文徳, 小貫, 誠, 田崎, 修平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 1992
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.52.343

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Summary:Creutzfeldt-Jacob病 (C-J病) は多彩な神経症状を呈し進行性で予後不良な疾患である.症例は68歳, 男性.昭和61年12月より四肢知覚鈍麻, 歩行時のふらつきにて発症.症状は進行性で翌年1月には歩行不能となり言葉のもつれ, 嚥下障害も出現した為入院となった.血液生化学的には異常を認めなかったが神経学的には精神症状, 錐体路症状, 錐体外路症状, 小脳症状, 四肢の筋力低下と知覚低下を認めた.症状は治療に反応せず入院4週には失外套状態となり, 呼吸器感染症を併発, 敗血症と呼吸不全により16週にて死亡した.脳CTでは進行性に大脳の萎縮を認めた.脳波では周期性同期性放電が症状の進行に従い次第に頭部全体に広がった.C-J病は近年その病態が解明されつつあるが, 病初期での診断は依然困難である.本症例では髄液中のNSEに注目し, その経時的変化を観察したところ, 脳CT上異常を認める以前より異常高値でありC-J病の早期診断に有用と思われた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.52.343