メッケル憩室を合併したTreves’ field pouch herniaの1例
症例は25歳の男性で,心窩部痛にて当院を受診した.腹部CTにて回腸末端近くで腸管の急峻な口径差と腫大した虫垂を認めた.急性虫垂炎と腸閉塞の診断となり,緊急手術を施行した.Treves’ field(回結腸動脈とその最終回腸枝との吻合枝に囲まれた部位)に袋状の線維性膜があり,メッケル憩室基部の回腸から回腸末端までが覆われる内ヘルニアであった.メッケル憩室はヘルニア門に沿って背側を走行し,先端は腹側に回り込んで回腸腸間膜に癒着していた.ヘルニア囊を開放してメッケル憩室を基部で切離した.本症例は,Treves’ field に生じたヘルニア囊を有する内ヘルニアであり,Treves’ field po...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 56; no. 5; pp. 273 - 279 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.05.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2022.0078 |
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Summary: | 症例は25歳の男性で,心窩部痛にて当院を受診した.腹部CTにて回腸末端近くで腸管の急峻な口径差と腫大した虫垂を認めた.急性虫垂炎と腸閉塞の診断となり,緊急手術を施行した.Treves’ field(回結腸動脈とその最終回腸枝との吻合枝に囲まれた部位)に袋状の線維性膜があり,メッケル憩室基部の回腸から回腸末端までが覆われる内ヘルニアであった.メッケル憩室はヘルニア門に沿って背側を走行し,先端は腹側に回り込んで回腸腸間膜に癒着していた.ヘルニア囊を開放してメッケル憩室を基部で切離した.本症例は,Treves’ field に生じたヘルニア囊を有する内ヘルニアであり,Treves’ field pouch hernia(以下,TFPHと略記)であった.TFPHはメッケル憩室と同じく先天性疾患であり,それらの合併の報告は本症例を含めて4例あり,ヘルニア囊の成因にメッケル憩室の関与が考えられる. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2022.0078 |