出血を伴い急性胆囊炎を発症した腎細胞癌胆囊転移の1例

症例は59歳の男性で,2008年12月,右腎細胞癌にて右腎摘出術を施行された.2010年12月,CTで右肺結節と胆囊腫瘤を認めた.腎細胞癌肺転移の診断でインターフェロンα治療を施行したが,胆囊腫瘤は徐々に増大傾向であった.2011年11月,急性胆囊炎を発症した.造影CTで胆囊頸部に動脈相で強く造影され,平衡相でwashoutされる35 mm大腫瘤が認められ,腎細胞癌胆囊転移を疑った.肺転移巣が安定しており,胆囊炎のため手術適応とし,原発性胆囊癌を否定できなかったため拡大胆囊摘出術を施行した.胆囊頸部に60 mm大の脆弱で軟らかい腫瘤が認められ,病理組織学的検査所見は腎細胞癌胆囊転移であった.ま...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 8; pp. 586 - 593
Main Authors 岡村, 裕輔, 名取, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
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Summary:症例は59歳の男性で,2008年12月,右腎細胞癌にて右腎摘出術を施行された.2010年12月,CTで右肺結節と胆囊腫瘤を認めた.腎細胞癌肺転移の診断でインターフェロンα治療を施行したが,胆囊腫瘤は徐々に増大傾向であった.2011年11月,急性胆囊炎を発症した.造影CTで胆囊頸部に動脈相で強く造影され,平衡相でwashoutされる35 mm大腫瘤が認められ,腎細胞癌胆囊転移を疑った.肺転移巣が安定しており,胆囊炎のため手術適応とし,原発性胆囊癌を否定できなかったため拡大胆囊摘出術を施行した.胆囊頸部に60 mm大の脆弱で軟らかい腫瘤が認められ,病理組織学的検査所見は腎細胞癌胆囊転移であった.また,腫瘍表面に血腫が付着し,胆囊内に血性胆汁が充満しており,腫瘍からの出血が疑われた.腎細胞癌は多彩な臓器に転移することが知られており,胆囊転移の報告もあるが,文献的報告例は48例のみである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0296