声門下気道狭窄を認めた口唇顎裂患者の1例

小児の気管最狭窄部は声門下の輪状軟骨部であり,新生児,小児における気管狭窄はこの部位で好発する。今回,我々は声門下気管狭窄を認め,挿管困難であったため,3ヶ月間待つことで,気道狭窄の改善が得られ,手術を行い,術中術後特に問題なく経過することができた口唇顎裂の一例を経験した。 患者は,1ヶ月の女児。家族歴,既往歴に特記事項はなかった。在胎39週,2290gにて出生,Apgar score 10/10であった。左側口唇顎裂にて紹介受診となる。初診時体重3270gで体格は小柄であるが栄養状態は良好であった。喘鳴や陥没呼吸など呼吸器症状,心疾患も認めず,左側口唇顎裂の診断の下,哺乳指導を開始し,体重増...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 39; no. 1; pp. 41 - 45
Main Authors 藤原, 久美子, 新美, 照幸, 夏目, 長門, 大野, 磨弥, 古川, 博雄, 原田, 純, 井村, 英人, 南, 克浩, 加藤, 大貴, 森, 明弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 2014
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate.39.41

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Summary:小児の気管最狭窄部は声門下の輪状軟骨部であり,新生児,小児における気管狭窄はこの部位で好発する。今回,我々は声門下気管狭窄を認め,挿管困難であったため,3ヶ月間待つことで,気道狭窄の改善が得られ,手術を行い,術中術後特に問題なく経過することができた口唇顎裂の一例を経験した。 患者は,1ヶ月の女児。家族歴,既往歴に特記事項はなかった。在胎39週,2290gにて出生,Apgar score 10/10であった。左側口唇顎裂にて紹介受診となる。初診時体重3270gで体格は小柄であるが栄養状態は良好であった。喘鳴や陥没呼吸など呼吸器症状,心疾患も認めず,左側口唇顎裂の診断の下,哺乳指導を開始し,体重増加を待ち,生後7ヶ月,5960gで口唇形成術を予定した。 術前の胸部X線写真では,異常所見なく,また小児科,麻酔科診察でも特記事項なかったが,麻酔導入時,気管内挿管を試みたが挿管できず,声門下数mmのところで挿入に抵抗を認めた。声門下の気管狭窄の可能性および抜管後の気道浮腫の発生を危惧し,手術延期とした。帰室後,特に呼吸器症状を認めず,翌日退院となった。 画像所見にて,声門下で気道狭窄を認めたことから,成長を待つこととし,1歳3ヶ月,体重7505gとなったところで口唇形成術を施行した。 麻酔導入時,特に抵抗なく挿管できた。術後も呼吸器症状はなく,術後8ヶ月で経過良好である。本症例では,声門下狭窄が軽度であり,術前に把握することは難しいと考えるが,成長を待つことにより,手術は可能であった。
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate.39.41