腹腔鏡補助下幽門側胃切除後の内ヘルニアにより十二指腸壊死を来した1例

症例は74歳の男性で,2年前に他施設に於いて早期胃癌に対し腹腔鏡補助下幽門側胃切除,結腸後経路にてRoux-en-Y法再建術を施行されていた.その後非小細胞肺癌に対し当院にて化学療法を受けていた.腹痛嘔吐が出現し,その2日後に意識混濁を認めたため当院に救急搬送となった.CTにて空腸内ヘルニアに伴う絞扼性イレウスと診断し緊急手術を施行した.術中所見では前回手術に伴う癒着は軽度で,空腸が挙上空腸背側と横行結腸間膜との間隙に入り込み内ヘルニアとなり,また輸入脚側の上部空腸および十二指腸水平脚が壊死し穿孔を来していた.壊死腸管を切除し,十二指腸下行脚と空腸を吻合し手術を終了し,術後33日目に退院となっ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 6; pp. 409 - 415
Main Authors 大野, 聡, 丁田, 泰宏, 二宮, 基樹, 藤原, 康宏, 小島, 康知, 塩崎, 滋弘, 松三, 雄騎, 金澤, 卓, 原野, 雅生, 松川, 啓義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2012.0143

Cover

More Information
Summary:症例は74歳の男性で,2年前に他施設に於いて早期胃癌に対し腹腔鏡補助下幽門側胃切除,結腸後経路にてRoux-en-Y法再建術を施行されていた.その後非小細胞肺癌に対し当院にて化学療法を受けていた.腹痛嘔吐が出現し,その2日後に意識混濁を認めたため当院に救急搬送となった.CTにて空腸内ヘルニアに伴う絞扼性イレウスと診断し緊急手術を施行した.術中所見では前回手術に伴う癒着は軽度で,空腸が挙上空腸背側と横行結腸間膜との間隙に入り込み内ヘルニアとなり,また輸入脚側の上部空腸および十二指腸水平脚が壊死し穿孔を来していた.壊死腸管を切除し,十二指腸下行脚と空腸を吻合し手術を終了し,術後33日目に退院となった.腹腔鏡補助下手術の増加に伴い空腸内ヘルニアの増加が報告されているが,十二指腸の壊死を来した症例はまれであり文献的考察を加え報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0143