術前診断にて胆管細胞癌との鑑別が困難であった肝孤立性壊死性結節の1手術例

肝孤立性壊死性結節は,中心壊死,硝子化線維性組織,弾性繊維を特徴とするまれな良性病変とされるが,術前診断困難で,発症機序も不明である.今回,胆管細胞癌などを疑ったが確診に至らず肝切除術を行い,肝孤立性壊死性結節と診断した1例を経験したので報告する.症例は64歳の男性で,他科でのCTで肝腫瘍影および肝胆道系酵素上昇を指摘され紹介となった.肝S4に3 cm弱の境界不明瞭な腫瘍影を認め,超音波で等エコー,MRIでT1WI低信号,T2WI高信号,造影CT,MRI,超音波では早期濃染を認めず,辺縁部に弱い造影効果を示した.他臓器に悪性所見を認めず,胆管細胞癌などを疑い肝内側区域切除術を施行したところ,病...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 7; pp. 395 - 402
Main Authors 宮坂, 大介, 松永, 明宏, 宮谷内, 健吾, 池田, 淳一, 石津, 明洋, 新関, 浩人, 山口, 晃司, 山田, 徹, 須永, 道明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2014
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2013.0191

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Summary:肝孤立性壊死性結節は,中心壊死,硝子化線維性組織,弾性繊維を特徴とするまれな良性病変とされるが,術前診断困難で,発症機序も不明である.今回,胆管細胞癌などを疑ったが確診に至らず肝切除術を行い,肝孤立性壊死性結節と診断した1例を経験したので報告する.症例は64歳の男性で,他科でのCTで肝腫瘍影および肝胆道系酵素上昇を指摘され紹介となった.肝S4に3 cm弱の境界不明瞭な腫瘍影を認め,超音波で等エコー,MRIでT1WI低信号,T2WI高信号,造影CT,MRI,超音波では早期濃染を認めず,辺縁部に弱い造影効果を示した.他臓器に悪性所見を認めず,胆管細胞癌などを疑い肝内側区域切除術を施行したところ,病変部は肝孤立性壊死性結節,背景肝は原発性胆汁性肝硬変と診断された.11年前に肝S4に7 cm大の限局性結節性過形成もしくは炎症性偽腫瘍を疑う所見を指摘されていた経緯があり,あわせて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2013.0191