ライノウイルス感染により顕在化した無呼吸発作に対してhigh-flow nasal cannulaが奏功した乳児例

症例は1か月男児.生後2週間頃に家族内で感冒様症状を認め,その後の約1か月の経過で咳嗽と無呼吸が徐々に出現し,チアノーゼを認めたため近医を受診した.無呼吸は,嗚咽するような湿性の咳き込みを契機に出現していた.呼吸器病原体マルチスクリーニングでライノウイルスが陽性で,無呼吸発作を繰り返すため集中治療室にてhigh-flow nasal cannula (HFNC)で管理したところ改善した.入院7日目にHFNCの離脱を試みた際には無呼吸発作が再燃したが,浣腸等で腹満を軽減した後はHFNCから離脱でき,入院14日目に退院した.乳幼児の無呼吸の病態には,呼吸中枢の未熟性のほか,喉頭の化学受容器が引き起...

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Published in日本プライマリ・ケア連合学会誌 Vol. 46; no. 4; pp. 149 - 152
Main Authors 奥根, 百合, 杉峰, 啓憲, 吉田, 晃, 池田, 由香, 儘田, 光和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会 20.12.2023
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ISSN2185-2928
2187-2791
DOI10.14442/generalist.46.149

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Summary:症例は1か月男児.生後2週間頃に家族内で感冒様症状を認め,その後の約1か月の経過で咳嗽と無呼吸が徐々に出現し,チアノーゼを認めたため近医を受診した.無呼吸は,嗚咽するような湿性の咳き込みを契機に出現していた.呼吸器病原体マルチスクリーニングでライノウイルスが陽性で,無呼吸発作を繰り返すため集中治療室にてhigh-flow nasal cannula (HFNC)で管理したところ改善した.入院7日目にHFNCの離脱を試みた際には無呼吸発作が再燃したが,浣腸等で腹満を軽減した後はHFNCから離脱でき,入院14日目に退院した.乳幼児の無呼吸の病態には,呼吸中枢の未熟性のほか,喉頭の化学受容器が引き起こすlaryngeal chemoreflex(LCR)が知られている.本症例ではHFNCによる呼吸努力の軽減に加え,加温加湿による去痰作用,腹満の軽減による胃食道逆流の減少が奏功したと考えられた.
ISSN:2185-2928
2187-2791
DOI:10.14442/generalist.46.149