大腸癌術後9年を経過した後に切除した巨大な異時性卵巣転移の1例

今回,我々はS状結腸癌術後9年を経過して認めた巨大異時性卵巣転移を根治的に切除した症例を経験した.症例は77歳の女性で,2003年6月S状結腸癌にてS状結腸切除術,D3リンパ節郭清術を施行後5年間無再発生存し,外来フォローは終了していた.2011年ごろから腹部膨満感を自覚し,2012年5月当院を受診した.CT/MRでは,骨盤内を占居する巨大腫瘍を認めた.CEA 510.2 ng/mlと著しい上昇を認めた.孤立性単発転移であり,根治切除可能と判断し,2012年6月右付属器切除術を施行した.病理組織学的診断は,中分化管状腺癌であり,免疫染色検査も含め初回手術時と同様の病理組織像を呈していた.術後C...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 4; pp. 374 - 381
Main Authors 鈴木, 優美, 平松, 聖史, 雨宮, 剛, 後藤, 秀成, 関, 崇, 鈴木, 桜子, 田中, 寛, 杉田, 静紀, 新井, 利幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2015
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Summary:今回,我々はS状結腸癌術後9年を経過して認めた巨大異時性卵巣転移を根治的に切除した症例を経験した.症例は77歳の女性で,2003年6月S状結腸癌にてS状結腸切除術,D3リンパ節郭清術を施行後5年間無再発生存し,外来フォローは終了していた.2011年ごろから腹部膨満感を自覚し,2012年5月当院を受診した.CT/MRでは,骨盤内を占居する巨大腫瘍を認めた.CEA 510.2 ng/mlと著しい上昇を認めた.孤立性単発転移であり,根治切除可能と判断し,2012年6月右付属器切除術を施行した.病理組織学的診断は,中分化管状腺癌であり,免疫染色検査も含め初回手術時と同様の病理組織像を呈していた.術後CEAは正常化した.脈管性転移が示唆された大腸癌の異時性卵巣転移の報告44例を検討すると,再発までの期間は4~84か月(平均20か月)であり,9年後の再発はまれと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2014.0149