Barrett腺癌に対する化学療法中に急速に発達したAFP産生癌の1例

我々は下部食道癌に対し化学療法を施行した後,その一部より短期間に発生したAFP産生癌というまれな1例を経験した.また,新規幹細胞マーカーSal-like protein 4(以下,SALL4と略記)染色がAFPと解離していたことも大変興味深い.食道におけるAFP産生癌は本例を含め22例目であり,この領域のAFP産生癌の発症については,Barrett食道→食道腺癌→AFP産生癌のシークエンスが推察された.症例は64歳の男性で,食道癌(LtAe,2型,cStage III)と診断した.術前化学療法が奏効したが,5コース終了後に病巣部の下端にtype 1の腫瘤が発生した.手術標本では下部食道に2型癌...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 1; pp. 29 - 39
Main Authors 横溝, 和晃, 根本, 洋, 楯, 玄秀, 櫻庭, 一馬, 松原, 猛人, 田中, 淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.01.2018
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Summary:我々は下部食道癌に対し化学療法を施行した後,その一部より短期間に発生したAFP産生癌というまれな1例を経験した.また,新規幹細胞マーカーSal-like protein 4(以下,SALL4と略記)染色がAFPと解離していたことも大変興味深い.食道におけるAFP産生癌は本例を含め22例目であり,この領域のAFP産生癌の発症については,Barrett食道→食道腺癌→AFP産生癌のシークエンスが推察された.症例は64歳の男性で,食道癌(LtAe,2型,cStage III)と診断した.術前化学療法が奏効したが,5コース終了後に病巣部の下端にtype 1の腫瘤が発生した.手術標本では下部食道に2型癌と,胃側に赤色の1型癌を認めた.両病変は腺癌であったが,1型部分はAFP染色陽性であった.また,SALL4染色では1型部分はAFPと一致し陽性だが,AFP陰性であった口側の領域にも陽性部分があった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2016.0078