術前診断に造影MRIが有用であった胆囊粘液癌の1例

症例は70歳の女性で,検診で胆囊腫瘍を指摘され当科に紹介となった.腹部USで胆囊体部肝側に粘膜下腫瘍様の形態を示すechogenicな隆起性病変を認めた.腹部MRIでは同部に15 mm大,T2強調像で腫瘍内部が腎臓よりも強い高信号を呈する腫瘤を認めた.ダイナミックMRIでは辺縁および内部がmesh likeに漸増性濃染を示した.MRI所見から粘液基質を豊富に含む充実性腫瘍が示唆され,胆囊粘液癌と診断した.胆囊床切除を伴う胆囊摘出術,肝外胆管切除と領域リンパ節郭清を行った.病理組織学所見上,癌細胞は間質に粘液を伴って浸潤増殖しており,胆囊粘液癌と診断した.胆囊粘液癌の診断には,充実性腫瘍であるこ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 6; pp. 423 - 430
Main Authors 本山, 博章, 野竹, 剛, 北川, 敬之, 清水, 明, 上原, 剛, 宮川, 眞一, 小林, 聡, 山田, 哲, 増尾, 仁志, 横山, 隆秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0054

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Summary:症例は70歳の女性で,検診で胆囊腫瘍を指摘され当科に紹介となった.腹部USで胆囊体部肝側に粘膜下腫瘍様の形態を示すechogenicな隆起性病変を認めた.腹部MRIでは同部に15 mm大,T2強調像で腫瘍内部が腎臓よりも強い高信号を呈する腫瘤を認めた.ダイナミックMRIでは辺縁および内部がmesh likeに漸増性濃染を示した.MRI所見から粘液基質を豊富に含む充実性腫瘍が示唆され,胆囊粘液癌と診断した.胆囊床切除を伴う胆囊摘出術,肝外胆管切除と領域リンパ節郭清を行った.病理組織学所見上,癌細胞は間質に粘液を伴って浸潤増殖しており,胆囊粘液癌と診断した.胆囊粘液癌の診断には,充実性腫瘍であることに加え,腫瘍内に粘液基質の存在を示すことが重要である.造影MRIは腫瘍の形態や造影効果のみならず,腫瘍内部に存在する間質の質的評価も同時に行えるため,胆囊粘液癌の診断に有用であると思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0054