Hybrid手術室にて開腹止血術を施行した孤立性十二指腸静脈瘤破裂の1救命例

症例は36歳の男性で,下血,意識消失を主訴に紹介された.貧血,血圧低下を認めたため,緊急上部消化管内視鏡検査を行った.十二指腸下行脚背側に出血性の静脈瘤を認め,内視鏡,およびballoon-occluded retrograde transvenous obliteration(B-RTO)では止血困難であったため,開腹止血術を施行した.静脈瘤を十二指腸壁ごと縫縮し,術中内視鏡,interventional radiology(以下,IVRと略記)にて静脈瘤への供血がないことを確認した.本症例では肝硬変などの基礎疾患や,門脈圧亢進症を示唆する所見を認めない,孤立性の十二指腸静脈瘤であり,その報...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 2; pp. 91 - 97
Main Authors 福田, 美月, 江藤, 祥平, 松尾, 祐太, 牧, 秀則, 竹内, 大平, 常城, 宇生, 森, 理, 湯浅, 康弘, 藤原, 聡史, 富林, 敦司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2021
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2019.0060

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Summary:症例は36歳の男性で,下血,意識消失を主訴に紹介された.貧血,血圧低下を認めたため,緊急上部消化管内視鏡検査を行った.十二指腸下行脚背側に出血性の静脈瘤を認め,内視鏡,およびballoon-occluded retrograde transvenous obliteration(B-RTO)では止血困難であったため,開腹止血術を施行した.静脈瘤を十二指腸壁ごと縫縮し,術中内視鏡,interventional radiology(以下,IVRと略記)にて静脈瘤への供血がないことを確認した.本症例では肝硬変などの基礎疾患や,門脈圧亢進症を示唆する所見を認めない,孤立性の十二指腸静脈瘤であり,その報告はまれである.静脈瘤の治療は,内視鏡やIVRが第一選択となるが,止血困難例では外科的治療の適応であり,その場合,hybrid手術室での手術が有用と思われる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2019.0060