主膵管狭窄を伴った多発膵漿液性囊胞腺腫の1例
症例は66歳の女性で,CTで偶発的に膵頭部腫瘤を認め当院へ紹介された.造影CTで膵頭部に小囊胞が集簇し早期から濃染を示す45 mm大の多房性腫瘤を認めた.また,膵体部に尾側膵管拡張を伴う10 mm大のlow density tumorを認めた.術前診断は膵頭部漿液性囊胞腺腫(serous cystadenoma;以下,SCAと略記)と膵体部癌の合併病変と考え,膵全摘術を施行した.病理所見は膵頭部病変,膵体部病変ともにSCAであった.SCAは良性腫瘍であり,一般的に単発で膵管狭窄を伴わない.主膵管狭窄を伴った多発SCAは非常にまれである.4 cmを超えるSCAは自覚症状が出現しやすく手術適応とす...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 7; pp. 471 - 479 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.07.2021
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2020.0070 |
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Summary: | 症例は66歳の女性で,CTで偶発的に膵頭部腫瘤を認め当院へ紹介された.造影CTで膵頭部に小囊胞が集簇し早期から濃染を示す45 mm大の多房性腫瘤を認めた.また,膵体部に尾側膵管拡張を伴う10 mm大のlow density tumorを認めた.術前診断は膵頭部漿液性囊胞腺腫(serous cystadenoma;以下,SCAと略記)と膵体部癌の合併病変と考え,膵全摘術を施行した.病理所見は膵頭部病変,膵体部病変ともにSCAであった.SCAは良性腫瘍であり,一般的に単発で膵管狭窄を伴わない.主膵管狭窄を伴った多発SCAは非常にまれである.4 cmを超えるSCAは自覚症状が出現しやすく手術適応とする報告があり,主膵管狭窄を伴った膵体部病変は膵癌の可能性もあり,本症例では膵全摘術を選択した. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2020.0070 |