膵頭部上縁の後腹膜に発生したCastleman病の1例

症例は42歳の男性で,健診による腹部CTで肝門部腫瘤を指摘され当院に紹介入院となった.腫瘤は境界明瞭で均一に造影され,膵頭部上縁に存在し,総肝動脈・固有肝動脈に接していた.その他,血液生化学検査,上部消化管内視鏡検査では異常を認めなかった.悪性リンパ腫などの悪性疾患の可能性も否定できず,治療方針決定のため腹腔鏡下腫瘍摘出術を行った.病理組織学的検査所見では,腫瘍は異型性を認めず,リンパ球主体の濾胞増生と血管増生からなり,Castleman病(hyaline vascular type)と診断された.Castleman病は原因不明のリンパ増殖性疾患で,縦隔や肺に好発し,膵上縁の後腹膜に発生する症...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 7; pp. 509 - 514
Main Authors 永田, 康浩, 蒲原, 行雄, 釘山, 統太, 藤岡, ひかる, 朝長, 哲生, 野中, 隆, 徳永, 隆幸, 伊東, 正博, 渡邊, 健人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2012.0213

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Summary:症例は42歳の男性で,健診による腹部CTで肝門部腫瘤を指摘され当院に紹介入院となった.腫瘤は境界明瞭で均一に造影され,膵頭部上縁に存在し,総肝動脈・固有肝動脈に接していた.その他,血液生化学検査,上部消化管内視鏡検査では異常を認めなかった.悪性リンパ腫などの悪性疾患の可能性も否定できず,治療方針決定のため腹腔鏡下腫瘍摘出術を行った.病理組織学的検査所見では,腫瘍は異型性を認めず,リンパ球主体の濾胞増生と血管増生からなり,Castleman病(hyaline vascular type)と診断された.Castleman病は原因不明のリンパ増殖性疾患で,縦隔や肺に好発し,膵上縁の後腹膜に発生する症例は少ない.治療においては,周囲臓器の切除やリンパ節郭清は不要で,腫瘤摘出により診断されれば良好な予後が期待されるため,腹腔鏡手術はよい適応になると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0213